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身の丈に合った安全保障政策を 徴兵制について考える

徴兵制について書く。正直言うと、私は徴兵制はわが国では必要ないし、議論の余地なしと思っていた。ところが、岡田代表が党首討論で取り上げたので、必要に迫られて調べてみた。結論から言うと、将来のことを考えると真剣に警戒する必要がありそうだ。

平成26年度の自衛官の採用数は13,143。そのうち8,239人は2年の任期制自衛官。この人数に驚く人も多いだろう。若い隊員を補い続けなければ、精強な部隊は維持できないのだ。ちなみに、この人数はここ10年の平均的数字で、1.7万人を越える採用を行った年もある。

政府の安保法制が通ると、自衛隊に新たな役割が加わる。主なものだけでも、①集団的自衛権の行使が可能となり、②周辺事態の地理的概念を外し、③恒久法により世界中の戦争の後方支援が可能となり、④PKO活動の範囲が拡大する。任務の拡大は相当なものだ。

もちろん、国土防衛、災害派遣などのこれまで自衛隊が行ってきた任務の負担が減ることは考えられない。そこに、これだけ新たな任務が加わるわけだから、毎年の自衛官の採用数は相当増えると考えるのが自然だろう。例えば、安保法制成立による任務の拡大で、毎年3万人の自衛官を新規に採用するとしよう。問題は、それだけの自衛官を現実的に確保できるかどうかだ。

若年人口の減少は加速する。今年度の新成人男性は(自衛官の大層は男性が占めざるを得ない)65万人いるが、2030年には約50万人、2060年には約30万人まで急減する。毎年3万人の自衛官を新規採用するためには、私の孫の世代では10人に1人が自衛官になる計算だ。

どう考えても、10人に1人が自衛官を志望するのは現実的ではない。それでも、この人数の自衛官を確保する必要が出てきた場合の方法が問題だ。

安倍政権の安保法制整備の理論的支柱とも言うべき西修駒澤大学教授は、著者で憲法18条が徴兵制を禁じているという解釈を否定している。徴兵制を違憲とする根拠は18条以外に考えられないので、そうなると徴兵制は合憲ということになるのだろうか。確認が必要だ。

深夜であったが、娘にこの問題を話したところ、食いついてきた。2060年は我々にとって未来だが、彼女たちにとっては現実だ。

わが国の自衛は大前提であり、半島有事にも備える必要がある。そこまでは国民も合意するだろう。ただ、政府の安保法制は大風呂敷を広げすぎている。人口減少時代に入ったわが国は、「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」という身の丈に合った安保政策を採用すべきだ。

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