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オキシコドン輸入事件で、久々に処方薬乱用について

国際企業の米国人女性役員が、米国から麻薬を輸入したとして、逮捕されました。輸入したのは、医療用に使われる鎮痛薬オキシコドン75錠だといいます。
このケースは、なにか事情があるのかもしれませんが、久しぶりにオキシコドンの名に接したので、処方薬乱用問題の現状をまとめておきましょう。

オキシコドンといえば、アメリカで処方薬の乱用が話題になるときに、必ず名前が挙がる薬です。あへんに含まれるアルカイドの一種テバインから合成されるオピオイド系の鎮痛薬で、医療の分野では長く使われてきました。日本では麻薬(ジヒドロヒドロキシコデイノン。別名オキシコドン)として厳格に管理され、米国ではスケジュールⅡ薬物に指定されています。この区分は、乱用のおそれが高いが、合衆国内で現に医療用途に使われているものに適用されています。
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↑オキシコドン(オキシコンティン)
DEA Multi-Media Libraryより転載

オキシコドン(商品名はオキシコンティンなど)は、医師が処方する薬で、処方せんなしで手に入れることはできません。ところが、こうした医薬品が乱用目的で出回り、乱用が広まっているのです。
米国では2010年ころから、処方薬の乱用が急速に広まり、過量摂取(オーバードーズ)事故で救急搬送される患者の増加や、死亡事故の発生などが問題になってきました。とくに、オキシコドンなどのオピオイド系鎮痛薬の乱用を続けると、次第に摂取する薬の量が増え、事故につながりやすくなるといいます。オピオイド系鎮痛薬には、ヘロインやモルヒネと同じように、呼吸抑制作用があり、過量摂取や、他の中枢神経抑制薬との併用によって、生命に危険を及ぼす呼吸抑制が起こることがあります。
また、使用量が増えた乱用者のなかには、より少量で同じ作用を得られるヘロインに乗り換える人も出てきて、近年の米国では、ヘロイン乱用が思いがけない増加をみせている地域があります。

米保健省の物質乱用及び精神保健サービス機構 Substance Abuse & Mental Health Services Administration(SAMHSA)の全米調査によると、2012-2013年のオキシコドンなどの処方せん鎮痛薬乱用は、次のような状況になっています。
・調査前の1月以内に処方せん鎮痛薬を使用した人は、推計4500万人
・この1年以内に、初めて処方せん鎮痛薬を医療用途以外で乱用した人は、推計150万人
・処方せん鎮痛薬を初めて使用した平均年齢は、21.7歳
[参照]
National Survey on Drug Use and Health (NSDUH)
http://www.samhsa.gov/data/sites/default/files/NSDUHresultsPDFWHTML2013/Web/NSDUHresults2013.pdf

米国で処方薬の乱用が大きな問題になったのは、2010年ころのことですが、いまだに問題は終息せず、乱用される薬品の代表格も、その後、ブプレノルフィン、トラマドールと変化しながら現在に至っています。

問題は、こうした医薬品が簡単に手に入ってしまう環境で、家族の誰かが処方された鎮痛剤などが家庭の引き出しに放置され、ティーンエイジャーの乱用のきっかけになることは、早くから指摘されてきました。
いっぽう、あやしげなインターネット薬局のなかには、本来なら医師の処方せんが必要な薬品が、処方せんなしで簡単に買えるものもあり、問題視されてきましたが、いまだにこうした販売サイトが生き延びています。

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