何ヶ月か前にマンガ『ワンピース』の映画をTVで初めて見た。その時は、なんだか『ナルト』を綺麗にしたような感じに思えた。
ワンピースフィルム ストロングワールド Blu-ray 10th Anniversary LIMITED EDITION 【完全初回限定生産】詳しいファンから見ると、両者は全然似ていないのかもしれない。けれど、普段はマンガを読まない私から見ると、主人公が「
仲間」や「
絆」を非常に大切にして頑張るというところが共通しているように思えて、最近はこういうものが人気なのかと感心した。
だって、80年代に流行った『北斗の拳』に出てくる、廃墟と化した街をゆく孤高のヒーロー・ケンシロウとは全く違うではありませんか。「お前はもう死んでいる」などという冷酷なセリフは主人公側からは出てこない。暴力がすべてを支配する世界ではなく、それなりには秩序のあるキレイな世界だし。
それに『ドラゴンボール』と比べたって、相当に違うような気がする。『ドラゴンボール』は主人公の成長物語で、悟空は亀仙人という老人のもとで修行を積み、やがてスーパーサイヤ人になる。
それに対して『ワンピース』には、少年の成長物語には必須の老賢者タイプの登場人物は出てこなかったし、主人公ルフィが特別な修行をしているようにも描かれていない。(『ナルト』は違うかな?)
そして主人公がメインというよりも群像劇的で、主人公の強さや成長よりも、仲間との絆が強くなっているところに焦点が当っている。「
絆の成長物語」と名づけたいくらい。
これは現代の日本人の何らかの願望の現われなのだろうか、などと思ったりしつつも、その時はそれ以上追求しないで、すっかり忘れていたのだが、今日のNHKの『クローズアップ現代』を見て、そのことを思い出した。
今日の『クローズアップ現代』では、「漫画“ワンピース” メガヒットの秘密」と題して、『ワンピース』の魅力に迫っていた。
※『ワンピース』は、主人公の少年ルフィが海賊王を目指し、仲間と共にお宝「ワンピース」獲得を目指す冒険マンガ。週刊少年ジャンプの連載開始から14年が経過し、昨年11月に発行部数累計が2億部を突破した。主な読者層は20代と30代。
読者から見ると、『ワンピース』の魅力は、登場人物が仲間を大切にするところ、仲間のために敵に立ち向かうところであり、これは『ワンピース』が連載された時代の世相と関係があるとゲストが解説していた。
連載が始まったのは、1997年。日本ではバブルが崩壊し、経済が停滞したころ。就職氷河期という言葉が生まれ、やっと就職した若者も、企業の終身雇用制の廃止やリストラの実施で、閉塞感につつまれていた。
同時にこの時期には、携帯電話やネットが普及していった。これらの技術は人とのつながりを強める方向に作用しつつも、実は孤立感も深めた。
これまでの価値観が崩壊して、若者が努力しても報われない社会状況のなかで、挫折やトラウマを抱える登場人物たち(海賊なので、アウトローという設定)が、仲間との絆を強めながら過去の欠落感を埋めながら未来に向かっていくところに、読者が共感したという解説だった。

マスメディアについて歴史的背景も踏まえた議論を提示している。