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日本の大問題がユッケ食中毒って……

2011年05月07日 10:43

tokyo editor

行った先は離島で回線もなかったので、今ようやくここ2週間の日本の状況を復習中。

すごく驚いているのが、今もっとも日本でホットな話題がユッケ食中毒事件ということだ。もう皆さん旧聞で「今さら感」あるエントリーになっちゃうかもだけど、少し書いてみる。

なんたって、日本を出る前の最大の話題は福島原発だった。日本を出るとそれこそ送迎のあんちゃんからリゾートで知り合ったヨーロピアン、リゾートマネジャーに到るまで、日本は大丈夫か、東京はどうだ、みたいな話ばかり振られる(当然だが)。

それで帰国時に見た現地新聞にはビンラディン氏死亡の記事。

――もうどれもこれも大騒ぎじゃないか。

そのテンションのまま帰ってきたら、テレビで大騒ぎしてるのは焼き肉だ。どうなってんのよこれ。

もちろん食中毒被害に遭われた方はお気の毒とは思うが、客観的に見れば死者数名の一過性案件だ。執拗に連日報道する重大性はない。もう原発やラディンはいいの? 生肉問題より、せめて年間3万人も亡くなっている自殺問題を「1%でも減らすにはどうするか」とか知恵を絞って取材・報道してはどうか。年間にジャンボ100機落ちてるのと同様の死者数なのに。

読売新聞なんか「加熱用の肉をユッケに使用」とか鬼の首を取ったように書いてるけど、そもそも定義上の生食用牛肉は事実上流通しておらず、全国の焼き肉屋でユッケに使ってるのも加熱用牛肉だという。ならこの店だけ責めるのはおかしい。

だいたい、食中毒被害者が広範囲の店舗にわたっていることから、店に入る前、卸が冷凍真空パック詰めにするまでの段階で原因菌が混入していたのは明白。焼き肉屋側は卸がトリミングした後のパック済み食肉を購入し調理に使っていたわけで、第一に責めるべきは東京・板橋の食肉卸業者「大和屋商店」なのは自明だ。

焼き肉屋に対する報道はメディアスクラムもいいところで、社長を追い回し謝らせたり土下座させたりと、下品なことこの上ない。土下座させたって何の解決にもならないだろう社長を精神的に追い込むだけで。記者会見だけでいいだろ報道は。自殺すれば満足するのか、視聴者もワイドショーも。

反面、「大和屋商店」に対しての報道は、まったく不気味なくらいなにもない。昨日警察の家宅捜索が入ったが、その事実を伝えているだけ。追い回して土下座させるどころか、社長名すら出てこない。

そこが不思議。これはなぜでしょうか。「食肉」だから? その報道落差のほうが、食中毒そのものよりよっぽど危機的な問題だ。そちらは検証しないのか。

ほとんど影響ないレベルの放射線で大騒ぎして風評被害を呼んだり水を買い争った方々は、今度はユッケの食べ控えですか。ご苦労様です。野菜や水はもういいんですか。

今後も原発では予断を許さない状況が続くと思うけど、そちらの情報はもう飽きたのかみんな。それでいいのか。状況変化に応じてまた放射線量が上がれば短絡的に大騒ぎするのか。

――まあ視聴者・読者側がこうなら、メディアスクラムも仕方ないのかもしれないけれども。メディアが尻馬に乗ってどうするという気持ちを、私は個人的にどうしても持ってしまう。

出版社の編集者。出版業界の実態について執筆している。

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