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【書評】2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い ネットで人々をとりこにする40の手口

2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い ネットで人々をとりこにする40の手口 (アスキー新書) 2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い ネットで人々をとりこにする40の手口 (アスキー新書)

ネット好事家として著名なHagexさんによる著書だ。この長ったらしいタイトルが、まるでネットのSEO対策のようでいてまた面白い。

ネットの流れは早いものだが、出版から1年以上たった本書の情報的な劣化はほとんどないといえ、ある程度普遍性がある内容だと思う。

本書の目的はずばり、ネットの「釣り文章」をいかに見破るか、である。あらためて説明しておくと、「ネット釣り師」とは、ネット上の各種サービスに(大半は匿名で)創作の文章を投稿し、読み手となる外のユーザーの注目を集める(ユーザーを釣る)人々のことを指している。

本書は「ネット釣り師」の生態、彼らの目的、スタイルなどを解説した上で、ミクロ的視点とマクロ的視点の両端から彼らの文章を見破るテクニックを解説していく。

なぜ「ネット釣り師」の文章を見破らなければならないのか。

冒頭で著者はその目的を、ひとつに「ネットリテラシーを強くするための、ほどよい訓練になる」ため、ふたつ目として「釣りを見抜くスキルを身につければ、掲示板やWebサービスに投稿された文章を、今まで以上に楽しく読むことができる」ためとしている。

前者の「訓練」については、人類がネットを手放さないかぎりこれからますます必要になることは間違いない。

ただし後者については……すんません、この本を読み終えた上でいうと、正直釣り判定することの何がおもしろいのか、よくわからなかった。

著者はクイズ番組などを例に取り、自分でも答えを考えながら受容した方が面白いと説明するが、だってネットの文章は最後まで釣りかわからないこともあるじゃん!

つまり、本書が明かす「情報の真贋を見極める」テクニックは、「情報にダマされないため」という目的のための「手段」としては優れているかもしれないが、「真贋を見極める」こと自体を「目的」に楽しめるかどうかは、おそらく個々人の資質に関わってくることになる。

そんな本書であるが、ぼくは本書を読みながら、このふたつ以外にも本書には「流用できる目的」があると思った。それは「釣り師」にかぎらず「ネットで耳目を集める方法を学ぶ」という目的だ。

ネットで何らかの活動をしていきたい人は、とくに第2章「釣りを『マクロ視点』からみてみよう」にある「対立キーワード一覧」表が必見の内容となっている。

この表は、著者が2ちゃんでまとめられいた「読み手が議論を始めたがるテーマ」に整理・追加したものだそうだ。「読み手が議論を始めたがる」=「読み手を釣る」という点で「ネット釣り師」が好むテーマ群なのだ。

日頃からネットに慣れ親しんだ人がこの表をみれば、「ああ、そうだね」と合点がいくはずだ。ネットでの話題、炎上のほとんどはこのテーマ群にあてはまり、それらは登場人物を変えて回っているに過ぎない。逆に言えば、ここがネットユーザーの変わることない「ツボ」「琴線」といえよう。表の内容自体には目新しさはないが、おそらくここまであけっぴろげに書籍という媒体で掲載されたのは初めてのことだろう。

正直に言えば、これらのテーマは下らないし、しょーもないし、耳目を集めるためにそれらを扱うことも下らないし、しょーもない。

けれど、ネットというプル型のメディアでは、まずユーザーにクリックされなければ意味がない。発信者が「下らないと思っている内容」と「本当に伝えたい内容」があったとして、「本当に伝えたい内容」を前に出しても、ユーザーが見向きもしなければ意味がないというジレンマが、ここにはある。

そういう意味で、ある程度は撒き餌として「下らないと思っている内容」をバズらせることも、必要悪といえる。「下らないと思っている内容」をバラマキ、その中に「本当に伝えたい内容」を紛れ込ませる。中川淳一郎氏をして「バカと暇人のもの」と言わしめたネットにおいては、現状はその方法がもっとも有効なのだ。

ぼくはここ数年、ネットを見てきてそういう結論に至った。「本当に伝えたい内容」だけを発信していても伝わらないのだ。

そういう意味で、本書に挿入された件の表は、ネットで(特にWeb媒体で)これから活動していきたい人にとっては、必見の内容になっているといえよう。

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