記事

バイラルメディアの書き手のモラルハザードが起きる理由

 おはようございます。インターネットは眠らないし休まない。そんなわけで、Parsleyは本日もいろいろもにょもにょ活動してます。

 さて、元切込隊長氏が下記のような記事を公開して、メディア・広告・PR業界で波紋が広がっている。

 サイバーエージェントなど特定企業の社員が違法なネイティブアドビジネスにぶっこんでいる件で(個人 - Yahoo!ニュース)

 これと同じではないけれど、似たような資料なら見かけて、でもこの案件「タイアップ広告」じゃないよね? ……などと思った記憶がそこはかとなく。
 サイバーエージェントには早速問い合わせをした方がいるようで、以下のような返答が出されている。

 ヤフーニュースに掲載された山本一郎氏の記事について _ 株式会社サイバーエージェント
 この度は、ご心配をおかけしており申し訳ございません。

 該当記事について、当社はJIAAの会員として、ネイティブアドの信頼性確保のため広告表示を実施しており、当社代表取締役社長の藤田および組織的に、ネイティブアドの広告表示外しを指示したという事実はございません。

 該当記事の執筆者にも、上述の通りに連絡をしております。

 現在、現場の行き過ぎた行動があったかどうかについての調査を進めると同時に、全ての媒体資料の見直しおよび社員に対する研修の実施により、広告提案時のルールを改めて徹底し、コンプライアンス体制の強化と意識向上に努めてまいります。
 ふむ。「組織的に指示した事実はない」のに「現場の行き過ぎた行動」があったかどうか、確認が取れていないというのは、これいかに。あと、「意識向上」ねぇ……。

 私個人としては、JIAAのネイティブアドのガイドライン(参照)に端を発している一連のあれこれについて、「なぜこれまでグレーに上手く運用してきたことを、あえて明確にしようとしているのか」ということに疑問をもっている。あくまで自分の感覚では、著作権の二次創作の処理と同じように、景品表示法を厳密に解釈すれば抵触する可能性があるところを、お互いに(これはユーザーも含まれる)利害を調整する形で長年運用していることを、なぜ今になって変える必要があるのか、と考えている。

 まぁ、このようなことについてあれこれいうのは別の機会に譲るとして。もうひとつ、CA絡みでは、バイラルメディア『Spotlight』が、画像を盗用し、抗議した著作者に「逆ギレ」をしたということが話題になっている。

 パクリメディア Spotlightのライターが盗用した先のブロガーを脅している!( 鈴木です。)
 
 また、同じタイミングで、「無断転載禁止」と書かれた記事から画像を複数のバイラルメディアに使われ続けたブロガーが、各登用先に問い合わせた結果をまとめた記事が『週アスPLUS』にも掲載されている。

 バイラル・キュレーションメディアの勝手な無断転載はどうして止まらないのか? - 週アスPLUS

 この、「どうして止まらないのか」という疑問に対しては、主に以下の理由が考えられる。

 ・執筆者が編集を介さずに投稿して公開できるから
 ・編集が転載に気づかず機能してないから


 『週アス』の記事では、真っ先にCAの女性向けメディア『by.S』が取り上げられているのだけど、もともとは『SELECTY』という名前で、まるで自撮り女子のSNSのプロフィール画像のように短期間で名称変更を繰り返している。つまり、チェック体制を強化して「信頼」できるメディアを目指すよりも、衣替えを繰り返す方がPDCAサイクルは回る、と判断しているのではないかしら、という疑いすら覚える。

 それとは別の問題として、書き手にしろ、編集者にしろ、著作権法について一定の知識を持ってお仕事をしている、と外からは見られているように感じるのだけど。私の知る限り、ネットメディアで著作権に関して体系的に学ぶ研修を実施しているところは五指もない。

 つまり、個々が自分で勉強するしかないのだけど、別に「勉強しろ」と促されることもないから、何か問題でも起こさない限り学ぶ必要性も感じずに日々記事を投稿しているという人の方が多数派なのではないかしら、と思う。

 WordPressやMovable TypeなどのCMSが普及して、ネットでメディアを立ち上げる敷居は劇的に下がった。だが、どのメディアが収益を十分に上げられる構造になっておらず、結果的にライターに払われる報酬も少ない。クラウドソーシングサイトを見れば一記事が300~500円という案件なんて良い方だし、3000~5000円で「原稿料を多く頂いている」とさえ感じている人もいるのではないか。

 とはいえ、仮に3000円だとして、一ヶ月毎日一本書いてそれが毎回採用されたとすれば90000円。生活保護の最低支給額より間違いなく下ですね。

 要は、そういう報酬でお仕事をしているライターに、どこまで著作権法をはじめとする遵法意識を持たせることができるのか。もちろん、法律違反は違反としてやめさせなければいけないのだけれど、報酬面や契約(すら交わしてないケースも少なくないはず)などの体制を整えず、ビジネスモデルすら微妙な状態でカジュアルにメディアを立ち上げる企業・団体が多いことこそが、この問題の本質にあると思う。

 ライターとしては、あるメディアに盗用画像を含む記事が採用されなかった際には他のメディアに持ち込んでいけばいいわけだし、そこが前述のような著作権に甘かったりしたら、その記事が公開・掲載されてしまう。そういうイタチごっこが、ここ数年続いているように思う。

 まぁ、要するに。メディア全体でお支払いする報酬・原稿料のベースが上がらない限りは、編集者・ライターのモラルハザードは起こり続けますよね、というお話なのだけど。

 これには上記のネイティブアドの話が密接に絡んできて、ここを厳格化しようとすると、これらのメディアは今まで以上にアドセンス・アドワーズ・アドネットワークに頼ることになるために、PVを稼ぐために記事の量産が求められ、少ないリソースの中でチェックがあってなきようなものになり、100円ライターからの著作権違反の記事の掲載がまかり通り、ライターの収入も上がらない、というスパイラルに陥る可能性が高い。

 まぁ、JIAA的には体力のあってガイドラインを順守できるレガシーなメディアと広告代理店・PR会社が残ればいいのかもしれないけれどさ。前述のようにCMSで個人でもメディアが作れるわけだし、そもそもJIAAの会員企業の中にも遵法意識が低い企業が混ざっているわけだし、あえて言葉を飾らずにいえば「論外ですね」というのがParsley個人の意見になります。

 そんなこんなで時間切れ。今日もお仕事お仕事…っと!

あわせて読みたい

「バイラルメディア」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    田中みな実 過激なお蔵入り写真

    NEWSポストセブン

  2. 2

    質問力なし 報道のTBSは死んだ

    和田政宗

  3. 3

    総理による解散は課題設定の権力

    三浦瑠麗

  4. 4

    橋下氏 解散批判する野党に苦言

    橋下徹

  5. 5

    自民は本気の小池氏を甘く見るな

    安倍宏行

  6. 6

    小池氏が知事辞任し選挙出馬の噂

    三浦博史

  7. 7

    北の日本攻撃ありうる歴史的背景

    ヒロ

  8. 8

    斉藤・山尾・今井 不倫の共通点

    NEWSポストセブン

  9. 9

    1件30円 保守コメント発注が話題

    キャリコネニュース

  10. 10

    デリヘルに素人専門が増えた理由

    PRESIDENT Online

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。