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拡大する放射能汚染―取り返しのつかない「避難準備区域解除」

 原子力発電に反対する環境団体などが今日、国会内で「福島市における放射能汚染調査」の結果を発表した(主催:グリーンピース・ジャパン/ FoE Japan/フクロウの会/山内知也・神戸大学大学院教授)。

 調査結果は「避難区域を拡大し、解除すべきではない」と警告している。

 細野豪志原発事故担当相は、福島第1原発から20〜30㎞の間に設定された「緊急時避難準備区域」を17日にも解除する方針だ。ところが事態は逆なのである。同区域も含めて住民が避難すべき区域をむしろ拡大しなければならないことを調査データが示している。

 深刻なのは福島市だ。福島県庁のある同市杉妻町でセシウム134と137が32,000Bq/㎏=640kBq/㎡も検出された(6月29日、福島県調査)。この数値はチェルノブイリ事故の「避難義務区域」に相当する。

 小学生が利用するバス停のある福島市大波では19,220Bq/kg= 384kBq/㎡だった(6月26日、神戸大学大学院・山内知也教授の調査)。チェルノブイリ事故の「避難権利区域」〜「避難義務区域」に相当する数値だ。

 こうしたホットスポットが福島市には多数存在するのである。

 だが福島市は避難に関わるいずれの区域にも入っていない。政府が空気線量だけで決めているからである。ICRP(国際放射線防護委員会)の基準では土壌汚染も加えているにもかかわらずだ。国際標準を無視してまでも汚染の値を低く抑えたいのが日本政府の姿勢のようだ。

「17日解除」のカラクリ



 細野原発事故担当相が避難準備区域の解除を17日にしたがっているのには大きな理由がある。この日は東京電力が原発事故の収束に向けた工程表のステップ1が終了する日なのである。「終了する」と東電が勝手に決め込んでいると言った方が正確だ。

 ステップ1の終了は放射線量が着実に減少傾向になっている状態を指すのだが、終了させるためのカナメである汚染水の循環冷却は装置がしょっちゅう故障する。まともに動いている時間の方が短いくらいだ。    

 マスコミはあまり報道しないが、4号機の原子炉建屋は倒壊の危機にあると伝えられている。倒壊すればプールに貯蔵されている膨大な量の使用済み核燃料が毀損し、重大な事態を引き起こす。

 現状を見る限り「ステップ1が終了に向かっている」とは口が裂けても言えないのである。東電や原子力安全保安院の幹部は、閻魔様に差し出す舌が何枚あっても足りないはずだ。

 政府と東電の辻褄合わせのために、放射性物質に高濃度汚染された地に住民を帰すようなことをしたら取り返しのつかないことになるだろう。

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