記事

平和ボケ日本を象徴する?ドローン官邸着陸事件

ーー日本でも、テロ対策の観点から議論と対策立案が喫緊の課題になってきた。

ーーかのイスラム国でさえ、敵対組織の軍事基地をdroneで偵察するという時代。まして日本も標的にされた昨今。テレビニュースによく映る総理大臣官邸(首相官邸)の前庭、あるいは皇居内に小型無人飛行機Droneが突入してから大騒ぎしても遅いかもしれません。

これは、今年1月下旬に書いた拙ブログ記事「ホワイトハウスへのドローン侵入は日本への警鐘だ」のお終いの部分です。

ほかでもありません。昨22日に明らかになった首相官邸屋上へのドローン着陸(殆どの新聞は「落下」と書いてますが)事件のことです。読売によれば皇居外苑、北の丸公園上空を飛んでいるとの情報もあったそうですから、なんだか、脱力してしまいました。

結果的に大したことがなくて良かった、という意味ではなく、やっぱり、警備当局のテロ対策は、ことドローンに関してはザルだったんだな、と実感させられ、朝日によれば、切れ者で鳴る菅官房長官にして、「小型無人機を利用したテロの発生も懸念される」という、何をいまさら発言をしているからです。

笑えたのは産経の1面トップ記事の主見出し。「衝撃 厳戒破られ侵入」。そりゃあ、警備にあたる警視庁は、人の出入りや周辺警備は厳しいかもしれないけれど、空には「厳戒」どころか、全く無警戒だったことが露呈したからです。

屋上がヘリポートで、息抜きするようなスペースじゃないからだとしても、安部首相が防大卒業式出席の際に使った3月22日以来、誰も上がってない(朝日)というのは考えられない。

ヘリの発着に邪魔だからでしょう、屋上にフェンスはない。しかし、監視カメラも省略しているのでしょうか。国会のフェンスには無数の監視カメラがあるのに。いや、多分、官邸屋上にもあるはず。それなら、それをモニターして当然でしょうが、それでも、発見できなかった、ってことは職務怠慢というか、やっぱり、空への警戒がゼロってことを裏書きしてます。(もしかして、ホントになかったのかな)

上記、1月下旬の記事にも書きましたが、米国のホワイトハウスの上空への警戒は徹底しているようです。ワシントン・ポストの報道によると、基本的にホワイトハウスとその周辺の上空を有人、無人を問わず飛行が禁止されていて、そこに侵入された場合に備えてレーダーで監視をしており、対飛行ミサイルまであるとか。高い塀と監視カメラ、環境センサーの配備はもちろんです。

しかし、それでも操作を誤ったドローンを阻止できず、ホワイトハウス前庭に着陸を許したのは、低空で小さな物体をレーダーが捕捉出来なかったからだといいます。その危険性については、政府はリスクマネジメントのコンサルタントを交えて検討を進めていたとのこと。

それで明らかになったのは、敏感なレーダーと音響追跡器のコンビネーションで、接近するドローンを探知することが技術的に可能だということです。しかし、探知しても、追跡して、怪しいかどうかを見極め、しかるのちにどう処理するかを決めるという手順になりますが、怪しいと分かっても、街なかで火器を使って撃ち落とすわけにも行きません。

では、飛行不能にする手はどうか。ところが、日本と違って、法整備が進んでいる米国では連邦法で、ドローンが飛行のために使っているGPS信号などを混信させたり妨害することを禁じている、とのことで、この手も難しい。

ということで、米国ではとっくの昔から連邦議会で取り上げられ、省庁横断的にこの難題に取り組んでいるようですが、少なくとも、今回の事件の経緯や対応を報道で知るかぎり、国会は音無しだったし、日本政府、警備当局の対応は後手に回っているように見えます。

人気ニュースアプリ「News Picks」では、この件について何百というコメントが寄せられていますが、「警備の甘さに驚き」「テロに屈しない国じゃなくて、テロに気づかない国、なんだな」「オウム全盛期だったら恐ろしいことになってる」「平和ボケ」などという辛辣な書き込みが目立ちます。

そして、「これを契機に規制が進むだろう」という書き込みも多いようです。国交省では「今回の事件を契機に法規制の検討を加速させる」(読売)とのことですが、規制しても、テロは法を無視して行われるのですから、その実行行為をいかに阻止するかが大事なことに変わりありません。

その意味で、前東京都知事の猪瀬直樹さんのNews Picksへの書き込みがまっとうだと思われますので紹介します。
<ドローン、予想しようと思えば、予想できた場所ですね。これから予想できる場所は幾つもあります。今回の事件がきっかけで、今後予想できる場所、原発など、職員がどれだけ本気で対策を提案できるかが問われているわけです。自衛隊のテロ対策のプロからの助言をきちんと受けないと、いくら日本の警察が優秀であろうと、警察の守備範囲のみの考え方では無理でしょう。縦割りを超えた話し合いが必要です>

その通りだと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蛇足ながら、米国では、接近するドローンを傷つけずに捕捉するという「Drone Net Gun」なる新兵器が495ドルで売り出されています。これは、顧客のセレブたちに、盗撮のためのドローンが接近してきたことをアラームやメールで知らせるサービスを提供しているDrone Shield社が開発したもので、50〜100フィートまで接近したドローンに向けてネットを発射するというものだそうです。その発射映像はこちら

【関連記事】
ホワイトハウスへのドローン侵入は日本への警鐘だ

あわせて読みたい

「ドローン」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    "外見は悪いがモテる男性"の秘策

    PRESIDENT Online

  2. 2

    "コミュ力強者"大量採用で大混乱

    キャリコネニュース

  3. 3

    カジノだけ"依存症"報じる異常さ

    大西宏

  4. 4

    ロードスターRF"原点回帰"の狙い

    PRESIDENT Online

  5. 5

    ビル・ゲイツが選ぶ必読書5冊

    フォーブス ジャパン

  6. 6

    "残業する人"を評価する日本企業

    非国民通信

  7. 7

    "カジノ解禁"富裕層を利する悪法

    メディアゴン

  8. 8

    VR開発者が明かす"厳しい現実"

    ニコニコニュース

  9. 9

    ヨーロッパで止まない"反EU"の風

    THE PAGE

  10. 10

    ハフポストに記事削除求めた理由

    クマムシ博士・堀川大樹

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。