記事

【詳報】「日本を真の意味で独立した国家にしたい」〜鳩山元総理がクリミア訪問、基地問題、安倍談話を語る

2/2

「安倍談話」について

ー戦後70年談話は、どのようなものにするべきだと思うか。

この談話は、東アジアの方々に対して、結果として大変な緊張感を与えてしまうものになるのではないかと私は心配しています。

昨日ある会合で村山富市元首相と一緒になりました。彼は「安倍首相は村山談話を見直すと言ったり、継承すると言ったり、一部変えると言ったりしているので、何を考えているのかわからない」とおっしゃっていました。

最近、安倍首相は「同じ事を言うならコピーすればいいだろう」というような発言をされています。だとすると、彼は例えば植民地支配とか侵略戦争であったということでお詫びをすることに対して、心のなかでは好ましく思っていないという本音が見えていると思います。

中国・韓国だけでなく、アメリカや西洋の国々も、安倍首相の本音というものがわかっています。それだけに私は、植民地支配あるいは侵略戦争という言葉が隠されてしまうと、これは大変に大きな問題になる、すなわち言いたくないから別の言葉を使ったということになると、大変な問題を引き起こすことになりますので、私はしっかりしたメッセージを、すなわち侵略戦争という言葉を用いてしっかりとお詫びする気持ちを申す必要があると思います。

もしそのような明確な言葉をお使いになりたくなければ、戦後70年談話は出されない方がよろしいと思います。

普天間基地移設問題について

ー総理時代には、女装に挑戦されたこともありましたね。もし、やり直すことができるとしたら、あるいは今も政権にあったとしたら、米国交渉をし続けますか。

私の女装を是非皆さんにも見ていたただきたかったと思いますが(笑)、人間変わるもんだと思ってまして、私をメイクしてくださった女性から「これであなたの新しい人生が始まりますね」と言われましたが、必ずしも新しい人生が始まるとは思いません。

その変わっていない私が辞めるきっかけになりました、普天間基地の返還問題に未だに関わっていることにも現れています。私はもはや政治家ではありませんけれども、東アジア共同体を構想していく人間として、沖縄を軍事の要石から平和の要石にしてきたいと考えております。

そう考えますと、私はその後、辺野古を何度も訪れましたけれども、世界の中でも大変美しい海を基地にしたくないという思いは総理の時以上に蘇ってきています。

変化が起きているのは、むしろアメリカの方ではないかと期待をしています。すなわち、海兵隊というものの存在意義が今一度見直されているということがあると思います。アメリカと中国、アメリカと北朝鮮の関係も、これは表にはなかなか見えませんが、変化が起きていると思います。

中国はもう世界最大の市場になりつつあります。そのような中国と、実質的にはいかに協力していくかということが、アメリカにとっても極めて大きな課題になってきていると思います。

従って、辺野古に固執していたらいつまでたっても基地は出来ないと。ならば普天間を閉じた後、その代替の基地を作る必要があるのか無いのかというところから、そして作るのであればどこに作るのか、ワシントンと東京だけではなく、沖縄とグアムなども含めて議論する場を作ることが求められているのだと思います。

安倍首相がオバマ大統領と会談するときにも、ぜひ基地のことをお話しいただき、実質辺野古では無理だということも伝えていただきたいと思います。翁長知事も訪米されると伺っております。ワシントンには沖縄の事務所が構えられていますので、その事務所が大きな役割を果たすのではないかと思っています。

AIIBへの参加について

AIIBに関しては、中国の方々との関わりの中で、私は昨年の段階から日本は参加すべきだと考えていました。

このAIIBの構想というものは、日本には唐突に出てきたように思われますが、決してそうではなく中国を中心としてかなり長い年月をかけ、準備をしてできあがったものだと理解しています。

東南アジアだけを考えても、例えば道路やパイプラインなどの建設が急がれておりますし、それには多額の投資が必要になってきます。
最近、習近平国家主席が話されているように、陸上におけるシルクロード構想、そのためにはユーラシア大陸を横断するような様々なインフラが必要になってくると思います。

私は中国脅威論を唱えていると、最初からAIIBに参加する機会は生まれなかったと思いますし、またアメリカとの協力関係のもとで、AIIBに加われない状況もあったと思いますが、日本がとくにアジアの新興国の発展、インフラに寄与するために、中国と日本が協力する姿を示せることが、アジアや世界の人々にどんなにか安心を与えるかと考えておりました。

日本がAIIBに参加することは中国を非常に喜ばせることでありますから、中国が喜ぶことによって、政治的な停滞を大きく転換できる機会にもなったのではないかと思います。

総理時代、軍産複合体から何か言われたことはあるのか

私が直接的にアメリカから何らかの厳しい非難を浴びたということではありません。軍産複合体から何かあったということもありません。

ただ、いわゆる政権交代をしたことによって、政策が変わる自由度がもっと広がっていくと考えていたんですが、現実は、とくに普天間移転のことに関しては、外務省、防衛省の官僚が私の考え方よりも、すでにアメリカとの間で出来上がった考え方を支持していたということです。

それはご承知のとおり、ウィキリークスでも明らかになっているように、現在トップに上り詰めておらるような官僚の方々が、鳩山政権に対して妥協するなというメッセージをアメリカの政府に送り続けていたということでもあきらかだと思います。

私自身はアメリカに留学していた経験もあり、アメリカにという国は大好きな国であります。ただそのことと、常にアメリカの意に沿うような外交姿勢を取らなければならないかというと、それは別のことだと考えています。

「東アジア共同体」構想の背景にあるもの

私の東アジア共同体という構想は、クーデンホーフ・カレルギー伯の、"友愛精神による汎ヨーロッパ主義"に非常に影響を受けています。

クーデンホーフ・カレルギー伯の時代は、ご承知の通りスターリンとヒットラーの全体主義が吹き荒れるヨーロッパでありました。その全体主義と闘うための思想として、「友愛」というものが大変重要であると。「友愛」はある意味での革命思想として世に出たと思っています。

自由というものは大変尊いけれども、自由が行き過ぎると弱肉強食の世界になり、平等も大変重要な概念だけれども、平等が行き過ぎると、やる気のない、というか、みんなが"悪平等"と言われるような社会に陥ってしまうと彼は主張し、その自由と平等という大変重要な考え方をつなぐ架け橋として「友愛」を提唱致しました。

人間と人間のつながりというもの、絆というものの重要性を認識していくなかで汎ヨーロッパ主義を唱え、それが後にEUという形に結実しました。同じことが東アジアでも必ずできる、そう思っております。

以前と比べて、東アジアは国の経済的な格差も大きいし、民族も多様で、宗教も多様で、なかなかまとまりがつかないのではないかと、批判的な方も多いです。ただ、日本や中国には、いわゆる"和を以て貴しと為す"という考え方があります。

そういう発想のもとで、むしろ東アジアにこそ友愛の思想が定着して、共同体というものを生む素地があると思っています。その辺のことに関して、なぜ東アジア共同体なのか、私の本に書かれていますので、是非ご覧になっていただきたいと思います。

「元総理」としての責務

ークリミア問題について鳩山さんが言っていることはわかるが、元総理がそれをやっちゃまずいだろうという考えがあるようです。小泉さんやカーターようなケースもありますが、政府と違うことを対外的にやると、間違ったメッセージを送ってしまう可能性があります。「元総理」という言うポジションの役割や責任をどのように考えていますか。

私は昔ある元総理と名刺交換した時に、「元総理大臣」と書いてございましたが、私はそのような名刺は持ちあわせておりません。冗談はともかくとして、私は元総理大臣としてやるべきことはやはりあると考えています。

例えばカーター元大統領は、大統領時代にどのように評価されたかは別として、国交のない北朝鮮などにも行かれて、米国との関係改善のために役割を果たしてこられました。

私は政府の立場を真っ向から否定するつもりはありません。ただ民間外交として、現在の政府ではなかなかできないことをやれることがあると思います。

例えば私が数年前にイランに参った時も大変轟々たる批判を受けました。ただその時にアフマディネジャド大統領などに申し上げたのは、日本を見習って欲しいということでした。すなわちイランが世界に疑われていた時に、原爆をつくるためではなく、原子力発電などの平和利用に徹するということを認めてもらうために、非常に辛抱強く努力を致しました。その後、イランもかなり辛抱強くディスカッションを行って、ようやくアメリカとの間で事実上合意ができてきたところまで来ました。大変良かったと思っております。

おかげさまで元総理ということで、外国に伺ってもそれなりの指導者の方々に面談することが可能であります。そういった方々にお会いをして、世界の平和に向けて日本が果たすべき役割を、現在の政府では言えないこと、できないことをするのが元総理としての責務ではないかと思っております。

最後に、今回、私がクリミアに行ったことに対してひょっとして安倍総理に指示をされていったのではないかというような思いを持った方も何人かおられました。決してそうではなかったのでありますが、そのように感じた方もおられたようでございます。

なぜ、いま東アジア共同体なのか
鳩山 友紀夫 進藤 榮一 高野 孟 中島 政希 島袋 純 鳩山 由紀夫
花伝社
売り上げランキング: 27,475

あわせて読みたい

「鳩山由紀夫」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    年齢で正社員募集する日本は異常

    城繁幸

  2. 2

    宮司殺害 犯行時の異様な言葉

    NEWSポストセブン

  3. 3

    超高額イージス導入で国防は弱化

    清谷信一

  4. 4

    ツリー炎上 嘘を重ねるネット民

    赤木智弘

  5. 5

    北の木造船 逃走の狙いは迎えか

    AbemaTIMES

  6. 6

    焦点:EV大手テスラ、ささやかれる「拙速な製造」の...

    ロイター

  7. 7

    食べログは禁煙店の加熱式可外せ

    NATROM

  8. 8

    中東 トランプ氏の賭けは勝利か

    野口雅昭

  9. 9

    時計業界激震 スイス製に新条件

    ロイター

  10. 10

    トランプ氏に何もできないアラブ

    野口雅昭

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。