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少年院を出所した子どもは、就職できるか否かで「再犯率」が大きく変わる。若者支援における「出口」の重要性

ビッグイシュー・オンライン編集部より:2014年12月14日(日)に開催された「若者政策提案書・案」の発表シンポジウムがより、高橋温さんによる講演の内容をご紹介いたします。

出口があることで問題解決ができる

第二部では、当日会場で配布した『若者政策提案書・案』の内容について、若者政策検討・提案委員の方にご登壇いただき、主に担当していただいた第2章の内容について、カテゴリーごとに説明していただきました。

宮本みち子委員長(放送大学 副学長)
【学び】青砥恭委員(NPO法人さいたまユースサポートネット代表)
【つなぐ】白水崇真子委員(一般社団法人キャリアブリッジ代表理事)
【生活支援】高橋温委員(弁護士・NPO法人子どもセンターてんぽ理事)
【出口】津富宏委員(静岡県立大学教授・NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡理事長) 

津富宏委員による【出口】についてです。

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津富:私自身はかつて少年院で働いていて、今は静岡の「青少年就労支援ネットワーク静岡」というNPO法人で活動をしている。「伴走型」ということになると思うが、地域の人が、若い人たちに寄り添う仕組みづくり、そしてこの仕組みづくりを通じた地域づくりの活動を10年くらいしている。そういう意味では、「つなぐ」ほうの支援を主としてやってきたが、今日は、「こんな出口があったらいいのに」という、今はないものの提案をさせていただきたい。

教えている大学で、学生に「先生は変わっているよね」と言われたのだが、何が変わっているのかというと、私のように、学生一人ひとりについて「大学を出たらどうするのか?」ということを考えている大学の先生はほとんどいないのだそうだ。

少年院では毎週、少年たちを面接していた。「ここから出たらどうするんだ?」と。少年院の時になぜ出口が大事だと思ったかというと、当時、就職を決めなければ出院させないという方針をとっていた上司がいた。2回目、3回目と再犯で入ってくる子も多い少年院だったが、その上司のときの出院者は年間83人を出院させて、再犯者がたったの3人だった。

少年院を出た子は、仕事につけるかつけないかで,再犯率が大きく変わる。それで出院したら働けるかどうかが、非常に大事だとわかった。

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とくに地方では仕事がどんどん減っている。地方は、20代の自殺率が高い。静岡県はまだ恵まれているが、20代の若者の自殺率と失業率は、県単位で見ると連動しているというデータもある。

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少年院では出口が大事だということを踏まえて仕事をしてきたが、ひきこもり支援でも出口支援が大事だということを明確に示したのが秋田県藤里町の取り組みである。

藤里町では、引きこもり支援のための取り組みをいろいろやっていくなかで、最後に気づいたのが仕事を用意することの大切さだった。蕎麦屋を作ったり、職業訓練につないだりして、藤里町にいた113人のひきこもりのうち、すでに3分の1が働いていて、50人以上が家を出ている。ひきこもり支援が、出口支援によって相当に解決できることを実証した素晴らしい取り組みだと思う。

関連記事:“普通の大人”が引きこもる日本の救世主?秋田県藤里町のすごい支援策とは(ダイヤモンド・オンライン)

入り口と出口の間に何があるかは別にして、入り口と出口の間に距離があることが最大の問題。グレーゾーンの方々を、単に福祉につなぐのでもなく、厳しい雇用につなぐのでもなく、もっと間口を広げていくことが出口問題の解決。

日本では、生活保護を受けている人の比率が低く、生活困窮者に対する包摂が弱い。障害者給付を受けている人の比率も国際的に比較すると日本は非常に少ない。このように、制度が拾えないグレーゾーンが広いことも、日本の出口問題の特徴。

これまで、日本はこのグレーゾーンを非正規雇用で取り込もうとしてきたが、これは決して包摂にならない。非正規雇用の方々が3年後どうなるかという研究をグラフ化したものがあるが、3年後に正規雇用に転換できた方は国際的に見ても非常に低い。

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それが家族形成できないことにもつながってくる。男性は非正規だと結婚できないので家族形成ができない。その結果、子どももできないので地域が疲弊していく。地方の問題は人口減少であると単純に語られているが、こういう数字を見ると実は非正規雇用の問題だと思う。 

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現在の就労支援は出口になっていない

公共職業訓練は雇用への通過点なので出口ではない。中間的就労も出口ではない。しかし、いずれも、出口にダイレクトにつながっていくという意味での支援である。中間的就労には、いわゆる最低賃金が必ずしも保障されない雇用形態も含むが、ここで伸びて競争的雇用に参入していかれる方もいる。

しかし、競争的雇用の面積が狭い。企業自身がうまく活用できていない発達障害の方々なども、うまく取り込めていけるような雇用の作り替えをしていって、企業のキャパシティの向上を図っていくのが大事。また、地方で仕事がない部分からどう仕事を作り出すかも大事。

さらに可能なら韓国で取り組まれているような社会的な雇用を、日本でも欧州並みに拡大していく。協同組合のような取り組みをしていく。生活困窮者支援法における中間的就労とか、福祉的給付とセットになった職業訓練とか、現状でもいろいろな提案がある。私たちがこうした提案を通じて具体的に政治を動かしていければと思っている。

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「国産アボカドの生産」で、新しい産業を作るNPO

最後に、私が尊敬している事例を紹介する。

愛媛県の愛南町という地域で、電車も高速道路も通っておらず、中心都市からも遠い。ここではパナソニックの工場が撤退し、急速に収入が減った。

生活保護の受給世帯も増え、自殺も増え、人口も激減した。それをいま救おうとしているNPOがある。医療福祉関係を基盤に、地域おこしをしているNPO「ハート in ハートなんぐん市場」である。

このNPOは、この地域に精神病院があるのだが、そこの患者さんの社会復帰の取り組みをしていく中でできた。

とりわけ力強いのが、「地域活性化につながる産業をおこしたい」と宣言していること。現在はアボカドづくりに取り組んでいる。アボカドは日本でほとんど生産されておらず、国内では大産地がない。

大産地を目指して、愛媛県から巨大な県立公園を譲り受けて、端からアボカドを植えている。アボガドはまだお金にはなっておらず、今は指定管理をしている温泉施設の運営がお金になっている。このほかにもアユや米をやったり、さまざまな生業を作り出している。

最後は高橋さんと同じオチになるが、出口があるからといって、人は出口につながり続けられない。人は試行錯誤していくので、絶えずつなぎなおすのが出口支援であり、私が静岡でやってきたことでもある。

『若者政策提案書』が完成しました|活動報告・イベント案内|ビッグイシュー基金

編集部より:随時記事を追加していきます。記事の一覧はカテゴリーページ「若者政策」をご覧ください。

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