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「ちょっといい話」その50―盲人のIT開発者―

写真のマイケル・クランさんは生まれつき片目の視力がなく、片方の目を頼りに暮らしていたが、15才のとき全盲になった。

何事にも前向きに取り組むマイケルさんは、大学でコンピューターサイエンスを専攻。在学中から視覚障害者がコンピューターを使う上での不便を解消しようと、友人と共にNVDA(NonVisual Desktop Access)というスクリーンリーダーを開発した。

視覚障害者は文字が見えないため、パソコンに表示されている文字が読めない。そのため、表示されている文字を音声や点字に変換して出力してくれるソフトが必要になる。これをスクリーンリーダーと呼び、眼が見えない、また見えにくい人でもパソコンが利用できるようになる。

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マイケル・クランさんから説明を受ける筆者


スクリーンリーダーを使うことで、画面の文字を読み上げるだけでなく、操作の時に文字を入力する位置なども教えてくれ、ワープロ、計算ソフト、インターネットなど、いろいろなソフトを音声や点字で確認しながら使うことができる。

高機能のスクリーンリーダーの多くは有料で、たとえば、英語圏で広く使われているJAWSは10万円近くする。しかし視覚障害者の大多数は発展途上国におり、有償で提供されているスクリーンリーダーは高額で購入できない。視覚障害当事者のマイケルさんは、視覚障害者全てが情報にアクセスできる社会を目指して、NVDAを無償で提供している。

現在のところ、世界150ヵ国で75,000人以上が利用しており、40以上の言語に対応している。ソフトの設計図は企業秘密であることが多いが、NVDAは設計図をインターネットなどを通して無償で公開。そのため、各国の視覚障害者が自国の事情にあわせて使いやすく改良することが可能である。多くの場合、翻訳もその国の視覚障害当事者も参加して行われており、もちろん日本語もOKである。

日本財団は毎年16万ドルを3ヵ年支援することにより、NVDAのバージョンアップや技術サポートの提供を応援しており、2016年までに彼らの提供する無料のスクリーンリーダーを20万人がダウンロードすることを目指している。

日進月歩のコンピューター業界において、更なるソフトウェアー開発のためにマイケルさんの夢は大きく、あふれる情熱をコンピューターを駆使して私に説明してくれた。

大きなハンデキャップを長所に代え、視覚障害者のためのソフトウェアー開発に日夜努力しているマイケル・クランさんの活躍を支援することは、日本財団にとっても大きな喜びである。

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