記事

「ちょっといい話」その50―盲人のIT開発者―

写真のマイケル・クランさんは生まれつき片目の視力がなく、片方の目を頼りに暮らしていたが、15才のとき全盲になった。

何事にも前向きに取り組むマイケルさんは、大学でコンピューターサイエンスを専攻。在学中から視覚障害者がコンピューターを使う上での不便を解消しようと、友人と共にNVDA(NonVisual Desktop Access)というスクリーンリーダーを開発した。

視覚障害者は文字が見えないため、パソコンに表示されている文字が読めない。そのため、表示されている文字を音声や点字に変換して出力してくれるソフトが必要になる。これをスクリーンリーダーと呼び、眼が見えない、また見えにくい人でもパソコンが利用できるようになる。

IMG_0318.JPG
マイケル・クランさんから説明を受ける筆者


スクリーンリーダーを使うことで、画面の文字を読み上げるだけでなく、操作の時に文字を入力する位置なども教えてくれ、ワープロ、計算ソフト、インターネットなど、いろいろなソフトを音声や点字で確認しながら使うことができる。

高機能のスクリーンリーダーの多くは有料で、たとえば、英語圏で広く使われているJAWSは10万円近くする。しかし視覚障害者の大多数は発展途上国におり、有償で提供されているスクリーンリーダーは高額で購入できない。視覚障害当事者のマイケルさんは、視覚障害者全てが情報にアクセスできる社会を目指して、NVDAを無償で提供している。

現在のところ、世界150ヵ国で75,000人以上が利用しており、40以上の言語に対応している。ソフトの設計図は企業秘密であることが多いが、NVDAは設計図をインターネットなどを通して無償で公開。そのため、各国の視覚障害者が自国の事情にあわせて使いやすく改良することが可能である。多くの場合、翻訳もその国の視覚障害当事者も参加して行われており、もちろん日本語もOKである。

日本財団は毎年16万ドルを3ヵ年支援することにより、NVDAのバージョンアップや技術サポートの提供を応援しており、2016年までに彼らの提供する無料のスクリーンリーダーを20万人がダウンロードすることを目指している。

日進月歩のコンピューター業界において、更なるソフトウェアー開発のためにマイケルさんの夢は大きく、あふれる情熱をコンピューターを駆使して私に説明してくれた。

大きなハンデキャップを長所に代え、視覚障害者のためのソフトウェアー開発に日夜努力しているマイケル・クランさんの活躍を支援することは、日本財団にとっても大きな喜びである。

あわせて読みたい

「視覚障害」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    "ためしてガッテン"アウトな理由

    三田次郎

  2. 2

    "避妊ジェル"に製薬会社らは反発

    フォーブス ジャパン

  3. 3

    「みんなで貧しく」は何が問題?

    THE PAGE

  4. 4

    東京マラソン2017"コスプレ30選"

    田野幸伸

  5. 5

    正男氏暗殺に見る独裁政府の弱み

    高英起

  6. 6

    森友学園 まとめサイトはスルー?

    ふじい りょう(Parsley)

  7. 7

    宅配問題でAmazon配送料値上げ?

    自由人

  8. 8

    「ストレス」が歳を取らない秘訣

    ヒロ

  9. 9

    育児のしすぎで"離婚危機"の男性

    キャリコネニュース

  10. 10

    森友学園疑惑 役人は汗びっしり

    田中龍作

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。