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アイドル国富論

 境真良さんの「アイドル国富論」を読みました。

 アイドルの構造と変遷を描く前半は十分ぐらいで読んだので油断したら、国家政策論と国際関係論を説く後半にハマってしまい、脱帽しました。
 この本はこの人でないと書けないわ。
 好著です。

 欠けていることが優れた商品性となるアイドルの逆説性が、経済学・経済政策をバックボーンとする筆者を刺激したといいます。
 社会論や産業論に留まらず、国際経済政策まで突き抜けていくところが本書の真骨頂と思います。
 刺激を受けた点、いくつか抽出します。

“80年代の一億総マッチョ化を越えてグローバル市場経済が日本にもたらされた時、日本社会は再びマッチョとヘタレに分かれた。”
“ヘタレの再興により、アイドル時代が本格到来した。”

--このマッチョとヘタレを軸とした分析は、イデオロギーや経済体制による構造分析よりも日本にはしっくりくるものがあります。まだ深堀りできますね。

“闘うアイドル=AKB”
“励ますアイドル=ももクロ”
“究めるアイドル=モー娘。”

--なるほど、彼女たちは守るべき弱者ではなく、ヘタレのマッチョ化を支える「インフラ」なのですね。

“小泉改革で生まれたヘタレマッチョにとって、民主党政権の雇用政策(派遣規制強化など)は正社員重視・既得権補強と見えた。”

--経済官僚でもある筆者は、ギリギリの政策分析も見せてくれています。オモテでは言えない意見もありましょう。それは飲みながら別途。

“アイドルが象徴するヘタレがグローバル市場経済を補完する可能性がある。”

--筆者には、米中韓のようなマッチョな国と、日本のようなヘタレの国を比較した続編を期待します。

“ヘタレマッチョの国 日本は「中産階級が主役である国を目指し続ける」、「それでよいのだと思っている」。”

--ぼくもクールジャパン政策なるものは、この結語の視点から見直すのがよいと考えます。

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