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「ハンセン病回復者の天皇皇后両陛下 謁見」―外国人回復者の感激―

1月27日、日本財団と国際看護師協会が共催したハンセン病患者・回復者とその家族への差別撤廃の世界宣言「グローバル・アピール」は、安倍首相、令夫人のご出席を得て東京から発表されたことは既に述べた。

発表翌日の28日、天皇皇后両陛下は、当方2名とハンセン病回復者8名を御所にお招き下さった。

8名の回復者が二手に分かれて並び、天皇陛下と皇后陛下がそれぞれ別々に4人ずつとお話しをされ、その後、場所を交代されて全ての回復者にお声をかけて下さった。

私は、一人ひとりの手を握られ、肩を寄せ合うようにお話しされている姿を目にし、涙を禁じ得なかった。最後に「今なお病気は勿論のこと、差別に苦しんでおられる方々の指導者として活躍していただき、皆さんの生活がより良くなることを願っています」とのお言葉を頂戴した。

予定時間の15分を大幅に超えた謁見は40分にも及んだ。出席者全員が、このようなお立場の方から愛情深く心やさしく接していただき、励ましのお言葉まで頂いたことに、彼らがそれぞれの国でおかれている立場を考えると、「本当に夢を見ているようだった」と、感激を興奮した口調で口々に語ってくれた。

以下は、謁見後の記者会見での彼らの主な発言要旨です。

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★全国ハンセン病療養所入所者協議会
 森 和男会長(大島青松園)
 今日、両陛下と親しく面談させていただきました。私は10年ほど前に香川県の高松で、入所者7、8名と謁見を賜りました。
 私どもの療養所は小さな島にあります。大きな船は接岸できませんので、陛下の船は沖合に泊められ、20分ほど、入所者や職員200名余がお見送りしたことを、陛下は覚えていて下さいました。
 両陛下にお会い出来ましたことは、全国の療養所の入所者たちも喜んでいると思います。

★インド・ハンセン病回復者協会
 ヴァガヴァサリ・ナルサッパ会長
 家族からも、そして社会の人々からも手を握ってもらえない私ですが、今日はこのように両陛下が親しく握手をして下さいました。その瞬間に、私は自分がハンセン病を患い、いろいろな苦労をしてきたことを忘れました。苦しみがすっと消えました。ほんとうに忘れられない経験を、今日はいたしました。
 今日の御所での両陛下への謁見、これをメディアの皆様方から世界中に発信していただき、stigmaというものは如何なるものかということを正しく伝えていただく機会にもなったのではないかと思いますので、どうぞご協力をよろしくお願いいたします。

★クリスティ・レーン・イバルダローサ(看護師)
 私は、かつてハンセン病の島といわれたフィリピンのクリオン島から来ました。今日は、本当にこのような地位の高い方にお会いできたことを心から嬉しく思っております。私の国の大統領も、まだ天皇皇后両陛下にはお会いしていないのではないかと思います。私は非常に緊張いたしました。でも、天皇皇后両陛下が私のところに来てくださり、そしてお話をしてくださった時に、その緊張が全て解けてしまいました。なぜならば、両陛下ともお優しく、本当に心から私の言葉を聞いてくださったということで、私は嬉しく、また感激をいたしております。
 私は今回、本当に両陛下にお会い出来るということは、信じられませんでした。最初に、皇后さまが私のところに来てくださって握手をしてくださいました。私はフィリピンで看護師をしておりますと話しましたら、頑張ってねと、優しくお言葉をいただきました。また、天皇陛下にも握手をしていただき、私自身6歳の時にハンセン病に罹りましたけれど、早期治療で完治いたしましたとお話をさせていただきましたら、おじいさんは元気?と優しくお言葉をかけていただきまして、祖父は元気でフィリピンの療養所で暮らしているとお答えしました。

★ホセ・ラミレス
 アメリカのヒューストンから参りました。今日私が経験したことは、私がハンセン病と診断された時の、本当に全く逆のことでございました。私はハンセン病と診断された時、もう、生きた人間としては扱われず、教会で最期の祝福までしてもらい、そして療養所に入りました。しかし今日、両陛下にお目にかかれて、私は復活いたしました。両陛下が私に対して扉を開けて下さいました。それは何かと言いますと、差別をするstigmaの世界から、私だけでなく、私と同じ病気で苦しむ人たちのために、これからはその差別をなくして、新しい世界に飛び立っていくんだよというお言葉というか、お気持ちをいただきました。
 皇居を出る時、私の眼は涙でいっぱいで、本当に私は、特別な感激、感情を胸に抱いておりました。診断された時は、生きる屍同然であったわけですけれども、今、私は生きた人間としてハンセン病を考える、ハンセン病の回復者と共に新たな世界を作り上げていくことが、今日、私の経験したことでございます。
 両陛下に御礼を申し上げるとともに、日本財団の笹川会長にも、心から御礼を申し上げたいと思います。
 両陛下は握手をしながら、私の目を直接見てくださった。そして、テキサスのこともよくご存じで、一度テキサスに行きたいなぁとおっしゃっていただきました。皇后陛下は、私の母のこと、妻のことも聞いてくださいました。ハンセン病の世界の中での女性の役割というものを、よくよくご存じでいらしたようでございます。また、天皇陛下には治療薬のお話もさせていただきました。私がとても嬉しかったのは、天皇陛下が、このstigmaの意味についてよく理解していらしたということを、陛下のお言葉から読みとった時でございます。
 また、お二方が退出されるときに気がついたのは、皇后陛下がそっと天皇陛下に寄り添って、手を添えられて退出されたことでした。それは、本当に陛下に対しての皇后さまの愛情であると思います。
*ホセ・ラミレスは、体調が悪くて病院に行く時、救急車ではなく霊柩車で運ばれた経験があります。

★グントレッディ・ベヌゴパール(インド)
 素晴らしい経験でございました。まだまだ信じられない、まだまだ夢のように感じております。私どもハンセン病回復者が、グローバル・アピール、そしてシンポジウムに参加するために、日本にお招きいただいていたのですけれども、このように両陛下に謁見できるということは、本当に夢ではないかと思っております。
 まず最初に皇后さまにお会いいたしました。その時に、皇后さまは手を差し伸べてくださって、握手をしていただきましたが、こういう普通の距離をおいてではなく、隣りに寄り添って握手をして下さいましたことが、どんな時よりも素晴らしい経験でございました。
 私のことについてもご質問してくださいました。36年前に私はハンセン病に罹りまして、今は結婚して3人の子どもに恵まれております。子どもたちは教育も受け、仕事にも就き、一人はインドの役所に就職しております。
 続いて、天皇陛下にからは、どのような活動をしているのかというご質問をいただきました。私は笹川会長のご支援のもとに、いろいろ回復者のために活動している話とか、経済的には自立ができるようになってきたこと、差別、そしてstigmaも減少してきたというお答えをいたしました。

★パウルス(インドネシア)
 私は天皇陛下からいただいたご質問に、大変、感動いたしました。天皇陛下はインドネシアには島が多くあることをご存じでいらっしゃって、たくさんある島の中で、どのように皆さんがハンセン病のことについて教育活動を行っているのか。どのように今までやってこられたかについてのご質問で、そこまで考えていただいていることを大変嬉しく思います。
 私たちは、まだ今、苦しい状況の中で、インドネシアにおける差別に対して闘わなければいけません。今回のイベントを通じて、ここで学んだことは、政府、様々な機関からの支えがあることが、とても大事だと思います。インドネシアにおけるstigmaの差別をなくしていきたいと思います。
 皇后陛下からもお言葉をいただきました。皇后陛下は、インドネシアに2回来られたとおっしゃっていました。そのせいか、インドネシア人に対してはとても近い距離を感じているとおっしゃっておられましたので、私にそういうお言葉をいただいて、私自身、とても自信を持つことができました。その自信を持って、自分の国で、もう一度心を強くして、これからも活動してまいりたいと思います。

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