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日本人人質事件を引き起こしただけでなく救出に失敗した責任を取り安倍首相は辞任すべきだ

とうとう恐れていた事態が起きてしまいました。「イスラム国」(ISIS)を名乗る過激派組織による人質事件で、後藤健二さんとみられる男性が殺害される様子の動画がインターネット上に公開されたからです。

 このような悲報に接することはまことに残念であり、何の罪もないジャーナリストの命を奪う残忍な犯罪行為を断固として糾弾するものです。後藤さんの命を救うことができなかったのは痛恨の極みであると言わなければなりません。
 後藤さんと湯川さんのご冥福をお祈り申し上げます。また、もう二度とこのような事件が繰り返されないことを望みます。

 同時に、2人の人質を見殺しにした無能で冷酷な安倍首相に満腔の怒りをもって抗議し、その責任の重大さについても声を大にして訴えたいと思います。人質となった2人の救出に失敗しただけでなく、今回の事件発生の引き金を引いてしまったことへの責任を取り、首相は直ちに辞任するべきでしょう。

 このビデオの公開に際して、ISISによる以下のようなメッセージも公表されました。

 日本政府よ。邪悪な有志連合を構成する愚かな同盟諸国のように、お前たちはまだ、我々がアラーの加護により、権威と力を持ったカリフ国家であることを理解していない。軍すべてがお前たちの血に飢えている。安倍(首相)よ、勝ち目のない戦争に参加するという無謀な決断によって、このナイフは健二だけを殺害するのではなく、お前の国民はどこにいたとしても、殺されることになる。日本にとっての悪夢を始めよう。

 ここでは、以下の3点が注目されます。1つは、「安倍(首相)よ」と、首相に対して直接呼びかけていることであり、2つ目は「勝ち目のない戦争に参加するという無謀な決断」を行ったと非難していることであり、3つ目は「お前の国民はどこにいたとしても、殺されることになる」と述べていることです。

 つまり、ISIS側は安倍首相を敵視し、その「無謀な決断」が今回の殺害の原因であることを示したうえで、日本人全体を敵視して今後もこのようなテロ行為を続けると表明していることになります。今回で終わりではない、としている点が不気味です。

 日本は「戦争に参加」したわけではなく、このような非難は「誤解」です。しかし、何度も繰り返してきたように、そのような「誤解」を生む言動を繰り返してきたのが安倍首相であったことも否定できない事実です。

 後藤さんの殺害ビデオに対して、安倍首相は次のような声明を出しました。
首相声明
 1 湯川遥菜(はるな)さんに続いて、後藤健二さんが殺害されたとみられる動画が公開されました。
 ご親族のご心痛を思えば、言葉もありません。政府として、全力を挙げて対応してまいりました。誠に無念、痛恨の極みであります。
 2 非道、卑劣極まりないテロ行為に、強い怒りを覚えます。許しがたい暴挙を、断固、非難します。
 テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために、国際社会と連携してまいります。
 3 日本が、テロに屈することは、決してありません。
 中東への食糧、医療などの人道支援を、更に拡充してまいります。
 テロと闘う国際社会において、日本としての責任を、毅然(きぜん)として、果たしてまいります。
 4 このテロ行為に対して、強い連帯を示し、解放に向けて協力してくれた、世界の指導者、日本の友人たちに、心から感謝の意を表します。
 5 今後とも、国内外における国民の安全に万全を期してまいります。
 声明は、「政府として、全力を挙げて対応してまいりました」とべています。どのような形で「対応」してきたのか、そこには問題がなかったのか、これからきちんと検証する必要があります。

 湯川さんの拘束は昨年の8月であり、後藤さんは11月につかまっていたようです。後藤さんについては奥さんに対して直接身代金の要求があった事実を政府もつかんでおり、対策本部を立ち上げて対応していたと伝えられています。

 その対応とは、どのようなものだったのでしょうか。2人が拘束されていたことを知りながら、パリでの襲撃事件があった直後だからということで外務省が制止したにもかかわらず、どうして安倍首相は中東諸国歴訪にでかけてしまったのでしょうか。

 2人の救出に向けての「対応」には、全く効果がなったということになります。政府は一体、何をしていたのか、と言いたくなります。
 今回の「対応」についても、この間の経験と教訓は全く生かされませんでした。政府は一体、何をしていたのかと、その無為・無策について重ねて問わなければなりません。

 このようななかで、安倍首相は人質を危険にさらし、死地に追い込むような無神経な発言を繰り返してきました。「言語道断」で「テロには屈しない」、「断固戦う」という発言を……。

 このような言葉を安倍首相が繰り返すことによって「宣戦布告」と受け取られ、ISIS側の敵意を高め、人質の生命を危うくする危険性が高まったのではないでしょうか。そして、それは今回の殺害によって裏付けられたことになります。

 それについて、安倍首相は注意し配慮する必要性を感じていなかったのでしょうか。今回も、「首相声明」で「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために、国際社会と連携してまいります。日本が、テロに屈することは、決してありません」と述べています。

 これをISIS側が「十字軍」と呼んでいる有志連合への参加表明だと受け取り、日本の国民が「どこにいたとしても、殺される」ような「悪夢」が始まる危険性を高めるとは考えなかったのでしょうか。あまりにも無思慮で浅薄な「政府声明」だと言わなければなりません。

 また、31日のブログ「安倍首相による『ショック・ドクトリン』(惨事便乗型政策転換)を許してはならない」で明らかにしたように、安倍首相は29日の衆院予算委員会で、自衛隊による在外の邦人救出について、「領域国の受け入れ同意があれば、自衛隊の持てる能力を生かし、救出に対して対応できるようにすることは国の責任だ」と述べ、今国会に提出予定の安全保障関連法案の成立に意欲を示しました。中東への関与が非軍事的な人道支援であるということを強調しなければならない時に、自衛隊による「邦人救出」に言及するというトンデモナイ間違いを犯したわけです。

 あくまでも軍事的な手段に頼らず、平和的な手段を通じての人道的関与に徹するという覚悟がないからです。あわよくば、集団的自衛権行使容認の口実として利用したいという思惑があるからこそ、このような間違った発言をしてしまったわけです。

 そのことが、今回の後藤さん殺害に至るISIS側の「誤解」を強める結果になりました。憲法9条に基づく「専守防衛」の国是を踏み越えることがこれほど大きな悲劇を生み、日本国民全体に対するリスクを高めるということが安倍首相には理解できなかったのでしょうか。

 国際社会に振りまかれた「誤解」を解いて国民の安全を確保する最善の手段は、このような「誤解」を振りまいた張本人である安倍首相を辞めさせることです。これ以上の犠牲を出さないために、これまでと変わらず憲法9条と「専守防衛」の国是を守り、中東地域に対しては非軍事的な人道支援に徹するということを明らかにしたうえで、安倍首相はその座を去るべきでしょう。

 そうすることによってこそ、この大きな悲劇を招いた責任を取ることができ、日本国民が「どこにいたとしても、殺される」ような「悪夢」を避けることができます。少なくともこれくらいのことは、安倍首相といえども理解できると思いたいのですが……。

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