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アベノミクスの金融政策で外国人が国債を買って儲けているという話

 私、やっぱり今やっている日銀の国債大量購入は非常にまずいと思うのです。皆さんは、そう思いませんか?

 そう思わない? 筋金入りのリフレ派ですね。リフレ派は、マイルドなインフレにするために必要なんだ、そうやってデフレマインドを払しょくすることが先決なんだ、なんて言いますが、仮にその所期の目的が達成できたとしても私は大いに問題だと思います。

 それに言ってはなんですが、インフレ目標が達成できる見込みなんて、ないではないですか?

 どうなっているのか、と言いたい。

 でも、この際、インフレ目標が達成できるかどうかなんてことはどうでもいいのです。それよりも、今の日銀の大量国債購入がどんな影響を及ぼすのかということを考えるとそら恐ろしくなるのです。

 何が恐ろしいというのか?

 先ず、今、国債市場でどんなことが起きているかご存知でしょうか?

 日銀が大量に国債を購入するものだから、5年物国債まで金利がマイナスになってしまいましたよね。10年物国債にしたって、ついに0.2%を切りました。

 では、こんなに低い利回りしか得られないのに、一体誰が国債を購入するのか?

 最大の購入者は今や日銀です。日銀は、マネタリーベースを増大するという約束を守らなければいけないので、どんな価格であっても国債を購入しようとする。

 では、日銀以外に買う者はいるのか?

 グラフをご覧ください。日本証券業協会が発表している投資家別の国債の売買状況を基にグラフにしたものです。

国債投資家別売買高

 このグラフは、都市銀行、信託銀行、外国人のネットベースの売付け状況を示したものなのです。つまり、売付け額から買付け額を引いたものです。つまり、マイナスになっているということはそれだけネットで見て買い越しているということなのです。

 青が都市銀行、オレンジ色が年金基金の委託分を含む信託銀行、そしてグレーが外国人なのです。

 このところ、外国人の買い越しが目立つでしょう?

 いいでしょうか? これほど金利が下がってきているので国内の金融機関からすれば、投資目的で保有するには国債は全く魅力がないのです。だって、10年物国債の金利が0.2%あるかないかのレベルですから。

 だから、グラフで分かるように都市銀行などはこのところ国債を売り越している、と。

 では、何故外国人は日本の国債を買うのか?

 外国人にとっても、日本の国債の利回りが低く見えるのは間違いがない筈。ということは、外国人の場合、主に短期国債を購入するか、或いは、長期国債などを購入する場合、満期まで国債を保有しようというのではないことが想像されるのです。

 満期まで保有しないということは、一定期間国債を保有した後、それを手放し利益を上げるという方針だということでしょう。では、一定期間後に、必ず利益を出すことができるという保証があるのか?

 私は、二つの理由によって、外国人はこれが確実なビジネスチャンスであると考えていると思うのです。

 一つは、日銀が高値で国債を買い取ってくれるという期待がある。

 今一つは、先物の為替取引を同時に組むことによって儲けが確保できる場合がある。

 これはどういうことかと言えば、仮に今1ドル=118円だとして、そして、ドルの1年物金利が仮に0.5%であり、その一方で、円の1年物金利が0%だとすれば…そして、1年後の先物為替レートが1ドル=116円となっていたとすれば…

 ドルをドルのままで1年運用すれば、1ドルが1.01ドルになるのに対し、1ドルを一旦円と交換して116円を手に入れ、それを1年運用すると…

 金利はゼロ%だから118円で変わりませんが、その118円をドルに交換すると、118÷116=1.017ドルとなって儲けが大きくなる訳です。

 しかし、当然のことながらそのような状況がいつまでも続くとは限りません。というよりも、今度はこれまでと全く逆の現象が起こることもあり得るのです。

 つまり、外国人が一転、日本の国債を売り越すことがあり得る、と。

 では、そのような状況になったときに、日銀が今までにも益して国債を買い支えることができるのでしょうか?

 しかし、もしその時にインフレ率が日銀の目標を超えていたとすれば、日銀は国債の買い増しなどできる筈がないのです。

 私が、こんなことを言っても、日本国債を保有する外国人投資家の割合は知れているから、大した影響はないなんて思っていませんか?

 でも、かつては5%程度だと言われていた外国人保有の割合は、今や9%程度にまで高まっているのです。それに、2014年12月の日本国債の売付けに占める外国人の割合は17%程度にまで達しているのです。

 我々は、ここで認識を新たにしないといけません。国債市場における外国人の存在を軽視してはいけない、と。

 それに、今見てきたように、外国人の多くは満期まで国債を保有しようというのではないのです。一定期間経過すれば、売却することを前提にしている、と。或いは状況に応じて直ぐに売却することがあり得る、と。

 余り事態を甘く見て、これまでのような日銀による国債のバカ買いが続けば、大変なしっぺ返しを食らうのは確実でしょう。

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