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日本の大企業は守銭奴なのか?(麻生発言の分析)

 麻生副総理の発言がまたまた波紋を呼んでいます。

 今度は一体何と言ったのでしょうか?
 
 「まだお金をためたいなんて、単なる守銭奴に過ぎない」

 「内部留保は昨年9月までの1年で304兆円から328兆円に増えた。毎月2兆円ずつたまった計算だ」

 「その金を使って、何をするかを考えるのが当たり前だ。今の日本企業は間違いなくおかしい」

 如何でしょうか? まあ、言っていることはいつもと同じようなことなのですが…いずれにしても、過去、企業の内部留保はどのように推移しているのでしょうか?

 グラフをご覧ください。

内部留保の推移

 なるほど、確かに内部留保が着実に増えているようですが、内部留保が増えるということは悪いことなのでしょうか?

 私は、麻生氏の今回の意見はちょっと短絡的過ぎると思います。もちろん、その一方で、麻生氏の言いたいことも分からないではありません。特に労働者の立場からすれば、もっと言ってくれ、と言いたいところでしょう。

 しかし、経営者の立場に立てばどうでしょうか?

 恐らく内心は頭に来ているでしょう。何故かと言えば、経営者の使命は少しでも利益を追求して、最大限の儲けを実現することにあるからです。つまり、当たり前のことをしているのに何故非難される必要があるのか、と。

 個人経営の会社であればともかく、株式会社でありながら、幾らでも賃上げに応じるようなことをしていたら、株主に対して説明がつきません。それに、そんなことをしていたら、企業の利益はぐっと小さなものにとどまっていたに違いありません。いや、場合によっては赤字になっていたかもしれません。それなのに、何故内部留保を増やしたからといって責められなければならないのか、と。

 もう一度言います。麻生副総理の言いたいことも分からないではありません。

 確かに、企業が気前よくベアに応じれば消費が活発になり、景気はもう少しよくなることでしょう。しかし、仮に国全体の景気がよくなっても、自分の会社の業績が悪くなっては元も子もないのです。

 麻生氏の発言に対しては、つぎのような批判も予想されます。

 「麻生氏は、儲けた金を使って何をするかを考えるのが当たり前だ、なんて言っているが、企業は、内部留保をそっくりそのまま現金や預金で保有している訳ではない。そうではなく、その内部留保は、企業が保有する土地や建物や機械設備などに形を変えていることが多いのだから、麻生氏の言っていることはおかしい!」

 確かにそのとおり。従って、その意味において、麻生副総理の発言は適当とは思われません。

 但し…企業が保有する現・預金がどのように推移しているかと言えば、上のグラフで分かるとおり、内部留保と同じように着実に増えているのです。

 ですから、その意味では、麻生氏の言っていることはあながち的外れでない、とも。

 やっぱり企業は儲かったお金を上手に使っていないという批判は当たっているのでしょうか?

 でも、そうであれば別の疑問が湧いてくるのです。

 つまり、安倍政権が推し進めている法人税率の引き下げはおかしくないのか、と。

 だって、麻生氏の考えに従えば、日本の大企業はお金の使い方を知らない守銭奴なのでしょ? その守銭奴にもっとお金を貯めるようにさせるのが法人税率の引き下げだから…だったら、現政権は企業に対して、もっともっとお金を貯め込めと奨励していることになるからです。

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