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“異端児”に「本当に好きなことだけを追求できる」教育環境を提供する「異才発掘プロジェクト ROCKET」

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

先日、ご縁あって「異才発掘プロジェクト ROCKET」の開講式に参加してきました。

会場に入ってみると、そこには衝撃的な光景が広がっていました。集められた10名程の小学3年生~中学3年生までの子どもたちが座っていたのですが、ある子はMacBookを、ある子はiPadを目の前に置き、ノイズが気になるからとコードがノイズキャンセリングのヘッドフォンをずっとしている…。

今回のプロジェクト概要を知った上で参加していた自分でも、なんだか人体実験のようで少し不気味な光景だなと思ってしまいました。

しかし、そうした思いは最終的には大きな期待へと変わっていきます。なぜそう思ったのか?今回のプロジェクトの概要を以下で説明しながら、自分がこのプロジェクトに対して感じたことを少し書いてみようと思います。

異才発掘プロジェクト「ROCKET」とは?

異才発掘プロジェクト「ROCKET」とは、東京大学先端科学技術研究センターと日本財団が共同で行うプロジェクトで、異才を発掘し、継続的なサポートを提供することで、将来の日本をリードしイノベーションをもたらす人材を養成することを目指すものです。

突出した能力はあっても、現状の教育環境に馴染めず、不登校傾向にある小・中学校生を選抜し、継続的な学習保障及び生活のサポートを提供することで、将来の日本をリードする人材を養成することが事業の趣旨であり、目的となっています。

戦後の日本をつくってきたのは、オールマイティーで協調性がある人達。しかし、今そのような人材に頼るには限界が来ている。だからこそ、突き抜けた人たちがこれからの日本を変えていくという考えのもと、学びの多様性のある社会の実現が必要であると、東京大学先端科学技術研究センター所長の西村幸夫さんは語ります。

参加している子どもたちの特徴

参加している子どもたちは、前述した通り「突出した能力はあるけれど、現状の教育環境に馴染めず、不登校傾向にある小・中学校生」であり、決して障害者などではありません。

むしろ、突出した能力を持った天才・異才な子どもたちばかり。IQが非常に高く、大学で学ぶ数学を既に理解できてしまう子どもがいたり、流暢にプレゼンテーションする子がいたり、動画編集の能力が非常に高い子もいました。

実際に子どもたちに教えていくことは?

それでは、実際にこのプロジェクトで子どもたちに教えていくことは何かといえば、それは以下のように多岐に渡ります。

テクノロジーリテラシー、プレゼン能力、コミュニケーション能力、ビジネスセンス、科学的思考、美的センスなどを中心に教えていくとのこと。トップランナーを毎回招いて彼らの話を聞かせていくというようなカリキュラムもあります。その中で子どもが興味をもった内容を伸ばしていく形へとシフトしていくとのこと。

詳しくはプロジェクトの公式サイトを参照してみてください。
参照:ROCKET - Room Of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents

特別講義「ロボットを一人でつくる意味」

僕は、目の前に広がる光景がなんとも異質なものだったので、開校式序盤ではどうしてもこのプロジェクトの目指すところが理解できませんでした。

しかし、開講式の最後に行われた一人のトップランナーの講演を聞いて、初めてこのプロジェクトの趣旨が腑に落ちたのです。

それが、ロボットクリエーター高橋智隆さんの「ロボットを一人でつくる意味」という特別講義。


こちらのCMを皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。このCMに登場するロボットをたった一人で設計・製作しているのが高橋智隆さんです。

「社会のためとか考えずに、自分の好きな事をやったほうがいい。」

そんな高橋さんが講演の中に仰っていたことで、とても印象的だった言葉が「社会のためとか考えずに自分の好きな事をやったほうがいい。」ということ。

「今の時代の発明は、勝手に誰かが考えた遊びみたいなものばかり。それを皆が面白がって使いはじめる。そのうちにその発明を使って、面白いことをやり始める人が現れる。だから、社会のためとか考えずに自分の好きな事をやったほうがいい」というお話を子どもたちに向かってしていました。

その時に具体例としてあがっていたのはTwitterやFacebook、Appleのような会社です。最初から社会貢献のような目的があったわけではなく、自分の好きなことを突き詰めていった結果、同じような興味・関心のあるようなひとに喜ばれ、そこからスケールしていったと。

そうなるためには実際に作ってみる必要がある、手を動かすことが一番大切だと高橋さんは語ります。つくると人に見せることが出来れば、それを形にすることで、また新しいアイディアが生まれてくるのであると。

「それでも、大義名分はですよ!!」と語る子ども

「自分の好きが基準であれ!」という言葉と共に、この講演は締めくくられました。

「大変素晴らしい講演だ」と僕は思っていたのですが、その後の質疑応答で子どもたちの中で結構食い気味で挙がった意見が「それでも大義名分は大事ですよ!!」という意見。

この意見はかなり衝撃的でした。社会性が欠如していると言われており、学校教育にさえ馴染めないでいる子どもたちでも、そのように考えてしまうのが今の学校教育なのだと。

自分の欲求を抑えて、社会性を重んじるように教えこまれてしまっている今の日本的教育の問題点が垣間見えた瞬間でした。

きっと親御さんたちも子どもたちをそうやって育ててきているのでしょう。「自分の好きが基準であれ!」と言うのは、結果的に自分の好きを突き詰めて成功した人にしかわからないものですから。

だからこそ、それを実現したことのある一流の人達が、ある程度隔離された空間の中で子どもたちに教えていくという場は、今の日本では絶対に必要なのだろうなと思いました。

最後に

「好きなことだけを勉強すればいい。他のことは勉強しなくていい。」

「稼ぐことも、社会に貢献することも意識する必要はない。とにかく好きなものだけに対して貪欲であれ。」

時代は間違いなくそんな人材を求めているのだと思います。もちろん、これからも社会性のあるオールマイティーな人が、求められる人材の大多数であることは間違いありません。

しかし、一方でこのような環境下のもとで育てられた子どもたちがこれからの日本を変えていくということも間違いないでしょう。

はじめは、不気味さが感じられましたが、この開講式を通じてそれでも行う価値のあるプロジェクトだと実感しました。

今後このプロジェクトのもとで育ってきた子どもたちが、5年後、10年後と日本にどのようなインパクトを与えてくれるのか。今からとても期待してやみません。

(取材協力:日本財団)

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