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大学入学で息子をキャンパスの寮に下ろそうと思ったら、なぜかクネクネ女学生で溢れるディスカウントストア、ターゲットの駐車場に入ってしまった件

Blogosに「日本の大学が生き残る道。アメリカの大学をコピーできないし、コピーする必要もない」という記事を見つけ、大いに共感するところがあったので、僕の体験を述べます。

あれは去年の9月26日のことです。

下の息子がUCLAに入学し、寮生活を始めるということで、アメリカの大学生と、大学生を持つ親の恒例の儀式であるMove-In Day(引っ越し日)に、朝4時起きし、サンフランシスコの北のマリン郡の自宅から、息子と二人でインターステート5号線を南下し、ビバリーヒルズにあるUCLAまで5時間かけてドライブしました。

この日は全米から数千人の新入生が到着する日なので、「あなたのチェックイン時間は正午から12:30PMまでです」と30分刻みで厳格に到着時間が指定されています。

南カリフォルニアの燦々たる太陽の下、指定の正午より1時間ほど早く着いてしまったので、「ちょっとキャンパスでも見るか」と思い、敷地内に乗り入れたのですが、そこいらじゅうに警察が犯行現場を封鎖する際に使うような黄色のプラスチック・テープが張り巡らされており、誘導の学生が非常灯を振っています。結局、目的の寮には近づけず、数珠つなぎになったレクサスやベンツやBMWに続くカタチで、誘導されるがままにサンセット大通りに吐き出されてしまいました。

サンセット大通りはハリウッドの映画スターたちが邸宅を構える、超高級住宅地です。ところが一度サンセット大通りに乗ると、再びキャンパスに入るための右折できる場所が全く無いのです!

あれよあれよという間に、ビバリーヒルズ・ホテルとか『プリティウーマン』で有名なロデオドライブの辺まで来てしまって、そこから大回りしてやっとのことでウィルシャー・ブルバードの方、つまりキャンパスの南の方からUCLAに近づきました。

しかしMove-In Dayで、どの駐車場も黄色のテープで封鎖されているので、なかなかクルマを停めるところがありません。

「とうちゃん、あそこに公共駐車場のPの文字が見える!」

息子がそう叫びました。

「ほいきた、まかしとき」

やっとの思いで、広々とした立派な駐車場にクルマを入れたわけです。ところが……

「とうちゃん、ここ、ターゲットの駐車場だ」

「なにぃ!?」

ターゲットというのはファッショナブルなディスカウントストアです。大学の駐車場を目指していたのに……なぜか大学に併設されているようなカタチでデーンと鎮座しているターゲットに辿りついてしまったのです。

「駐車券をvalidateするには、買い物しなきゃ」

ということで、息子と二人でパーキング・チケットを握りしめてターゲットの店内に足を踏み入れて、呆気にとられました。

そこには思いおもいの「UCLA」のTシャツを着た、ホットパンツ姿のクネクネ女学生たちが、数百人くらい溢れていたのです!

僕は思わず苦笑して言いました。

「しかしアレだな、自然な流れで大学の駐車場を探し求めると、すぅ~っとターゲットに誘導されちゃうってのは、商業主義もここに極まれりだな」

ところが息子の方を見ると、どうも様子がヘンです。

「とうちゃん、ここ何かムンムンして、胸が苦しい」

確かにこれだけ若い女の子がブロンドの髪をなびかせ、こんがり日焼けした長い脚を惜しげもなく晒しながら、パジャマだの、シャワーカーテンだの、寮生活で必要なものをカート一杯に買い込んで、右へ左へと走り回っている光景には、圧倒されるものがあります。

結局、息子と僕の二人は、いたたまれなくなって、店の外の路上のベンチにへたり込んで、時間を潰しました。

「しかしおまえ、たいへんなところへ来ちゃったな」


もちろん、アメリカの大学が、全部、こんな調子ではありません。同じカリフォルニア大学でもバークレーは、日本で言えば早稲田のバンカラなイメージのように、質素です。キャンパスのすぐ外のテレグラフ通りにはホームレスとかが居ます。つまりダイバーシティがあるわけです。

その点、UCLAはスタンフォードに似ていると思います。スタンフォードにはキャンパスの中にショッピングモールがあり、ティファニーやノードストロームが入店しています。

つまり僕が言いたいことはアメリカでは大学もBIG BUSINESSだということ。因みにUCLAは中国に50店舗もの「UCLAショップ」を展開しているそうです。

だから「所詮、日本の大学とアメリカの大学では予算のスケールがぜんぜん違う」という冒頭のブロガーの人の指摘は僕もずっしりと感じました。

今から日本の大学がアメリカの大学の向こうを張ると言ったって、予算、教育の質、学生の質、研究内容など、全ての面でハンデが大きいです。

因みにインドや中国などの新興国では「アメリカに対抗する大学を国内に作るのはリターンの効率が悪い。それより先ずアメリカの大学に優秀な学生をどんどん送り込んで、最大限、利用し尽くそう」という考え方があります。

実際、日本国内に世界レベルで戦える大学を作るには、まず「敵を知る」という意味で、アメリカやイギリスの大学の内情を偵察しなければいけないわけだけど、それすら中国、インド、韓国などに大きく後れを取っているわけです。

それから最後に言わしてもらえば、僕はこうしたアメリカの大学の在り方を「アメリカの方が良い」と肯定していません!

いや、むしろアメリカの大学の在り方には反対です。

なぜならアメリカの大学はとにかくお金がかかるからです。ひとりの子供を大学にやるのに2,500万円もの出費を覚悟する必要がある高等教育は、どこかが間違っていると思うのです。「アメリカでは奨学金が出るんじゃないの?」という読者が多いですが、これは僕もさんざん研究し尽くしたけど、一筋縄ではいきません。親がミドルクラスの場合、子供の成績がムチャクチャ良くても、奨学金が沢山出るという幻想は捨てた方が良いと思います。

いいじゃないですか? 別に世界大学ランキングに日本の大学の名前が無くても。

それよりみんなにaccessible な、リーズナブルな授業料で教育の門戸を全員に開くコトのほうが、よっぽど重要だと思います。

【関連記事】
日本の大学が生き残る道。アメリカの大学をコピーできないし、コピーする必要も無い。

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