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「政治と箱根駅伝④「逆転のドラマ」と「にわかファン」」〜背景としての「Mの社会」

なぜ、箱根駅伝は人の心を捉え、政治は捉え損なっているのか。
その要因を総括してみる。

①「にわかファン」になれる
小難しいルールも、「微妙な判定」もない競技、それが駅伝(笑)
加えて、実況を2時間程度、「今昔物語」を三回ぐらい見れば誰でも今回出場チームや選手の「’裏’事情」(競技に関係ない情報=家族や友人のこと等)まで知れ、いっぱしの「専門家」になれる、ということである。
つまりは箱根歴50年で、毎日そのことばかりを考え、DVDを見まくっている夫も、多分今回初めて「箱根」を考察したライター新田さんも(笑)そこそこ同じレベルでの「解説」ができるのだ。
「にわかファン」と「ブーム」は違う。「ブーム」は金と時間をつかって自らがコミットメントして初めて起こる。「にわかファン」はその時の高揚感で終わり。
「箱根駅伝」が稀有なのは、毎年一回この「にわかファン」を沿道に集め、テレビの前に座らせる。そこには②があるからである。
逆に言えば「選挙」という同じように単純なルールの上に成り立つ政治がそこまで至らないのは②がないから、なのだろうか。

②`誰か`に感情移入できる
「母校」「出身地」という「甲子園モデル」に加えて、それ以外でも’誰か’に感情移入が出来る装置が「箱根」にはある。
それは中継中「無駄な時間が多い」ということなんだけど(笑)
つまり野球やサッカーと違って、試合の展開は緩慢だ。しかし実況し続けなければならない。
アナウンサーは選手についての「まめ情報」を繰り返し語ることとなる。天理教ではないが、人は同じことを9回ぐらい聞くと知識が「定着」する。「定着」は「愛着」となる(笑)ついつい、その選手を応援したくなるのはこのマジックがあるからだと思う。
また「箱根駅伝」と「学歴社会」はリンクしていると思う。昔はエリート校が圧倒的に強かった。もしくは体育専門学校。が、今や世に言われるエリート校でもダメはダメ。会社でも同じだ。
少々の学歴コンプレックスを抱えながら社会で生きる人にとっては小気味良い部分もあるのではないだろうか。

③「逆転」(=ドラマが生まれる)が可能な設定
なぜわざわざ「箱根の山」を登るのか(笑)「競走」だけだったら、平地で良いのである。しかも5区6区のみでなく、どのコースにも必ず「坂」を入れている。20キロ前後というのも微妙で、5人はイケても、10人揃えろ、といわれたら「ハイ、どうぞ」というわけにもいかない数なのだ。
このコース設定はつまりはブレーキ、転倒、山の神等「ドラマが生まれやすい」設定にしているのだ。「逆転」も可能な設定にしているのだ。

④「Mの社会」
快走を続けるトップを賞賛しつつも、みなどこかで「ブレーキ」を期待していたりする。
そして出来たら「苦しみ」「逆境」を乗り越えて栄光をつかんでほしいと思う。
この国のどこかにある「M体質」。苦しいほどいい、という。価値がある、という。
これは社会全体でも感じる。なぜ苦しくなるのにそこを選ぶか。(例えば農業の戸別所得補償制度を切られても自民党を選ぶ不思議だ。いや、実は基本「Mの社会」であると思うと、妙に納得が行く。「箱根」はそれを見て感動する「Mの社会」にある「S体質」部分をもあぶり出す。
この微妙な役割分担と入れ替わり。

これこそが「一強多弱」を産む背景のような気もする。



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