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緊急経済対策が日本経済を弱体化させている!

突然ですが、また緊急経済対策が打たれると報じられています。ご存知でしょうか?

 規模は3.5兆円ほどになる、とも。

 どう思いますか?

 私には、全くどうかしているとしか思えません。というのも、今どうしても景気対策が必要だとは思えないからです。逆に聞きたいほどです。何故今景気対策が必要なのでしょうか?

 当初は、燃料費が高止まりして困っている人々がいるなんて話でしたが…ご承知のように原油価格は急低下しているのです。

 それでも燃料費が高止まりしているなんて言うのでしょうか? まあ、円安もあるので原油価格低下の恩恵を丸々享受できる訳ではないにしても、です。

 えっ、消費が落ち込んでいるから?

 バカを言ってはいけません。確かに7-9月期の実質GDPの成長率はマイナスになっていましたが、個人消費は前期に比べ増えていたではないですか。

 雇用対策だ、なんて言っても無駄です。だって、今や人手不足が問題になるほどですから。

 それに、そもそも2四半期連続で実質GDPがマイナス成長になったといっても、消費税率を3ポイントも上げた訳ですから…そして、増税直前の駆け込み需要があった訳ですから2四半期連続してマイナス成長になっても、それは想定内の出来事だったと言っていいでしょう。

 つまり、景気対策を打つ必要がないような状況にも拘わらず景気対策を打つから、益々政府の借金が増えるのです

 グラフをご覧ください。

景気対策

 1998年度以降の、景気対策にかかった財政負担をまとめてみました。

 なんと15年間ほどの間に、92.9兆円ものお金が投じられているのです(誤解のないように言っておきますが、これは事業規模ではありません。事業規模はこれより遥かに大きくなります。)。

 とはいえ、我が国では構造的に税収が不足しているのですから、実際には殆どが国債の発行によって賄われているのです。

 つまり、こうして景気対策を打ってきたために、それを原因として国債残高は90兆円以上も増えているのです。

 では、その一方で、名目GDPはどれほど増加したのか?

 1998年度の名目GDPは約510兆円。そして、2013年度の名目GDPは約483兆円ですから、27兆円ほどむしろ減っているのです。

 では、税収はどうなっているのか?

 1998年度の一般会計の税収は約50兆円。それが、2014年度の一般会計の税収も約50兆円を見込んでいるので何の変化もないのです。

 ケインズ経済学が教えるところに従えば、景気対策(財政出動)を行うと、乗数効果のためにGDPが増加し、そして税収も増える筈ではなかったのでしょうか?

 しかし、こうして分かるとおり、我が国の場合には、名目GDPはむしろ減り、そして税収も増えてはいないのです。増えているのは、国債残高だけなのです。

 私が、こんなことを言うと、景気対策を打たなかったらもっと酷いことになっている筈だ、なんて言う人がいるかもしれません。

 しかし、少なくても次のようなことは言えるのです。

 もし、過去、このようにバンバン景気対策を打つことがなかったならば、今よりは遥かに増税の必要性は小さくて済んだ筈です。そして、そうして増税の必要性が小さければ、今回のように増税の結果消費が落ち込むこともなあった訳です。

 それに、もっと重要なことがあります。それは、こうやって緊急の経済対策を打つ場合、えてして事業の選定がずさんになってしまい、必要性がないものにまで予算がついてしまうことがあることです。

 普通であれば、どれだけ陳情してもなかなか認められない予算が、急に補正予算を組むことになった場合には、主計局の方から早く予算要求をしろと言われる有様なのです。

 景気対策のための補正予選ですから、事業の中身の前に総額が決まってしまいます。そして、急いで補正予算を成立させる必要があるから、中身をいちいち吟味している暇などないのです。

 お分かりになります? だから必要性の乏しいものが紛れ込む余地があるのです。

 私が、こんなことを言っても納得しない人もいるでしょう。つまり、どんな事業だって(無駄な事業だって)予算をつけてやれば、それをきっかけにお金が世の中を回るようになるから、それで景気がよくなると思っている人がなんと多いことか!

 確かに、そのようにしてお金がどんどん回れば、景気はよくなるかもしれません。しかし、実際にはそうはならないのです。幾ら商品が売れてお金が入ってきても、そのお金の流れがすぐストップしてしまうことの方が多いのです。景気が悪ければ悪いほど、将来に対して明るい展望が持てないので、そのようになる傾向が強いのです。

 但し、仮に1回限りでお金の流れがストップしたとしても、もし、それが地域にとっては必要不可欠な道路や橋の建設に使われた場合と、殆ど利用されることのない道路などに使われた場合の波及効果はまるで違うのです。

 誤解のないように言いますが、公共事業だから無駄だというのではないのです。公共事業でも、有益なものもあるのです。しかし、繰り返しになりますが、利用価値が低い公共事業の場合には、結局、お金をどぶに捨てたも同然で、政府の借金が増えるだけなのです。

 そして、そうやって政府の借金が増えるので、また増税になり、そして増税をするから景気の足を引っ張る、と。

 そこまで分かれば、政府の借金が増えないような工夫をするのが先決です。だから、今回のような状況で景気対策を打つのは無駄であるし、また、だから日本経済がさらに弱体化してしまうと言いたいのです。

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