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オンライン英会話は使えるか~レッスンを体験してみた(前編)

オンライン英会話は使えるか~レッスンを体験してみた

近年「英会話の価格破壊」として人気急上昇中のオンライン英会話。その魅力はズバリ「低価格」。30分程度のマンツーマン・レッスンが一回につき200円以下という破格の料金で受けられる。現在DMM、レアジョブ、ラングリッチあたりが大手三校。

じゃあ、自分もやってみようとばかり、9月始めからレッスン(一日一回コース)を受け始めた。ちなみにほぼ毎日なので、すでにトータルレッスン時間が50時間に達している。で、こんなことをやっているおかげで、そろそろいくつかシステムが見えてきた。そこで三ヶ月ほど試してみた結果をレポートしてみたい。前半は「低価格になるカラクリ」。

一日200円以下になるカラクリ・その1:人件費

しかし、それにしても1レッスン200円以下というのは安すぎだ。DMMなら最高75円になる(ただし、特別価格)とも謳っている。なので、はじめにそのカラクリについて確認しておきたい。というのも、実は、このカラクリこそが教育システム=カリキュラムの構造に大きく影響を及ぼしていると考えられるからだ。

ひとつは、あたりまえの話だが、まさにインターネット時代のメリットを最大限に生かしたから。英会話教師はそのほとんどがフィリピン人。そしてもちろんフィリピン在住。なのでテレビ通話アプリ・スカイプを利用して日本とフィリピンを結ぶのだが、要するにフィリピンの人件費の安さ、ネット通話が無料であることを利用してこのビジネスが生まれたのだ。

一日200円以下になるカラクリ2:日本人の英語コンプレックスに訴える

ただし、である。いくら賃金格差があるといっても、これじゃ教師の時給は最低150円以下ってなことになってしまう(DMMの場合、最安で75円なのだから、これを基準に教師の取り分を見積もれば時給は数十円程度と、とんでもなく低いということになる。しかしながら教師はそれなりの訓練を受けているし、その全てが大卒、あるいは大学生。そう、いくらなんでもこんなに時給が低いわけはなかろう。でも、なんでこんな安い価格が設定できるのか。

その答えは「英語というコンプレックスを利用した釣り」にあるといっていい。とにかく日本人の英語コンプレックスはハンパないというか、メディア的に助長されてしまっている感が強い。英会話関係の広告がテレビCMや電車内、ネットなどで夥しく展開され、そのどれもが「英語喋れないヤツは国際人じゃない」みたいな煽りがあたりまえのように行われている(実際には、そんなことは全然ないのだが)。半面、英会話で目ざされている到達目標はあまり明確にされていない。英会話には、たとえばトラベル英会話、日常英会話、ビジネス英会話、本格的なネイティブとの議論が出来る程度の英会話など、用途に応じて様々なレベルがあるのだが、これがみんなゴチャゴチャに扱われる。で、恐ろしいは、用途の設定が曖昧な結果、常にに先ほど列記した最後のレベル「本格ネイティブとの議論が出来る程度の英会話」がメディア的に設定され、これに到達すべく一律に英語コンプレックスを煽り続けるのだ。ようするにクルマを運転するのなら、安全に運転できればよいのに、一律F1レーサーを目ざさなければならないようなあやしい構図が設定されている(正直な話、日本人の英会話のレベルはメディアによる設定に比べれば遙かに低い。いいかえれば「永遠に達成不可能な目標」がメディア的に垂れ流しにされている)。で、こういった英会話ビジネスに入れば、突然ネイティブとペラペラとコミュニケーションが出来るような幻想が振りまかれている。

「じゃあ、英会話やらなけりゃ」となるのだけれど、フェイス・トゥ・フェイスの英会話レッスンはベラボーに高いので、これはムリ。そこでお手頃なインターネット会話が登場するのだけれど。実は、同様にこちらの方も、こういった煽りをうまく利用したビジネスになっている。

僕が利用している英会話は最大手のひとつ。システムは他のものとほぼ同じで一回につき25分のレッスンが受けられるが、これが一日一回で一月6000円程度。一回は200円ほどということになる。レッスン予約はサイトの予約ページに飛び、時間帯を選び、該当する時間枠をクリックすると受講可能な教師の写真が登場し、これをクリックして完了する。

で、この時、気になることがある。講師の数だ。リストを見てみると300名程度がリストアップされているが、各時間帯ごとに見ると対応できる教師は最大で20名程度。時間帯によっては(早朝など)数名という場合も。しかしながら、登録されている生徒数は膨大で、当然この程度の人数では処理しきれないはず。にもかかわらず、開始時間間近になっても予約可能な教師が存在するのだ。

これは、どういうことか?

この答えはこうだ。その安さに乗じて膨大な数の消費者がオンライン英会話に登録する。ただし、ほぼ全員が英語コンプレックスの持ち主。なのでレッスンは緊張しまくる(英会話教師たちの多くが日本人はナーバスだと指摘していた)。で、ほとんど英語が話せない。教師の方が一方的に話すというような展開でもしないと、会話よりも沈黙が流れる時間になってしまう。その結果、コンプレックスは返って助長される。で、だんだんとレッスンから疎遠になっていく。ただし、最初の三ヶ月とかは「割引」と称して一括入金を義務づけてくるところが多いので、結局たとえば一ヶ月6000円ならば18000円を払い込み、その実受けたレッスンは数回だけと言うことに。要するに膨大な数の非アクティブ・ユーザーが存在するわけで、だから教員数は一枠に付き20名程度で十分に処理可能。一方、このユーザーたちが支払った授業料が教員に還元される。だから彼らに支払われている給与は時給二桁ということには必ずしもならないわけだ。

もちろん、やる、やらないはユーザーの任意だから、これは悪徳商法というわけではない。自己責任、つまり「やらないヤツが悪い」だけなんだから。ということは、僕みたいな貧乏人は「意地でもやってやろう」(笑)と考える。なので、一部だが、毎日のようにガンガンやっているユーザー=生徒もいるわけなんだけど。

ところがこの構造、教育システムそれ自体、つまりマジメにガンガン授業を受けている人間にも大きな影響を及ぼしているのでは?しかも悪い方に。では、それは何か?(続く)

【関連記事】
オンライン英会話は使えるか~低廉さが生むカリキュラムの不備(後編)

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