記事

伝説のヒットメーカーが「ゲーム業界に喝」 - 稲船敬二

─稲船さんは、大手ゲームソフト会社の「カプコン」に長年在籍され、「ロックマン」「鬼武者」等、数々のヒット作を生み出したが、今のゲームメーカーをどのように見ているのか。

「ゲームで負けるのは、日本発祥の柔道で負けるのと一緒で悔しい」と語る稲船氏
(撮影:Wedge編集部)

 経営側も、クリエイター(制作)側も力が落ちている。経営側は、マーケティング調査結果や投資回収率、開発期間、開発費など、全ての資料の説明をクリエイター側に求める。

 クリエイター側がそういった慣れない作業をして、資料を提出しても、新しい作品にはなかなか承認がおりない。結果、新しい作品が生まれず、シリーズ物しか作れなくなっている。今のクリエイターは作りたい作品が思うように作れず、クリエイティブ能力は落ちていっている。

─なぜ経営側は承認できないのか。

 よく経営側にばかり原因があるように言われるが、クリエイター側も悪いと私は思っている。クリエイター側が10億円、20億円かけなければ、世界で売れるゲームが開発できないと思っているからだ。経営側も、売れると確信が持てる従前のヒット作シリーズ以外に、そんな高額な費用をかける決断はできない。

─世界のゲーム市場での日本ゲームの存在感は薄れ、海外メーカーのゲーム、いわゆる「洋ゲー」が席巻している。どのように感じているか。

 単純に悔しい。従来、日本が広めてきたゲームで勝てないのは、日本が柔道で負けるのと一緒だ。今では日本語版を出さない洋ゲーも増えている。かつて日本のゲームが世界を席巻していたときに、我々日本のゲームクリエイターが「英語版だけで、○○語版はいらないでしょ」と会話していたのと同じことを、海外ゲームメーカーにされている状況だ。

─日本のゲームメーカーに勝ち目はあるのか。

 今の日本メーカーの考え方では厳しいだろう。日本メーカーの経営者には「洋ゲーは開発費100億円以上、開発スタジオの人数は1000人。これじゃ勝てるわけがない」と言う人もいる。しかし、それは違うと思う。元々、日本のゲームが世界を席巻していた時から、日本のメーカーにそういった「資源」はなかった。私はよく「とんち」と言うが、日本人は日本人らしいことを発想しなきゃいけない。プログラム技術の力も、キャラクターデザインの力も日本人にはある。うまく引き出せていないだけだ。

─クリエイターの力を引き出し、良い作品を作っていくにはどうしたら良いのか。

 私は、クラウドファンディングの一種である、キックスターターを使って、7万人から4億円の資金を集めてゲームを制作している。クラウドファンディングとまでは言わなくても、同じことを社内コンペとしてゲーム会社内でやれば良い。クリエイターの能力を競い合わせることが大切であり、その取り組みがクリエイティブにゲームを作れる環境に繋がるはずだ。その先にヒット作が生まれる。

*関連記事
・開く「洋ゲー」との差 凋落著しい“元ゲーム王国”日本
・ゲームユーザー3億人超! 爆発的な成長遂げる中国ゲーム市場

(聞き手・構成/編集部)


【関連記事】
開く「洋ゲー」との差 凋落著しい“元ゲーム王国”日本
ゲームユーザー3億人超!爆発的な成長遂げる中国ゲーム市場
快進撃続くミクシィ「次の一手」森田仁基社長インタビュー 「次は中国市場を制する」
パズドラ 3DSソフトも大ヒット スマホ版は「オワコン」と言われながら
世界で勝てない日本のゲーム業界

あわせて読みたい

「ゲーム業界」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    稲田氏PKO日報隠蔽 報道は的外れ

    河野太郎

  2. 2

    加計問題 職員の反対意見が続出

    文春オンライン

  3. 3

    二重国籍のまま大臣務めた蓮舫氏

    中田宏

  4. 4

    死後45年ブルース・リー死の真相

    渡邉裕二

  5. 5

    説明責任果たした蓮舫氏に感動

    小林よしのり

  6. 6

    蓮舫氏の問題は自己矛盾にある

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  7. 7

    橋下氏が「戸籍開示」批判に疑問

    橋下徹

  8. 8

    奨学金という商品で儲ける銀行

    fujipon

  9. 9

    英国で激増 硫酸で女性狙う凶行

    木村正人

  10. 10

    ネットで内閣支持60%?調査方法は

    大西宏

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。