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ジャポニカ学習帳から昆虫が消えた!? 「終わりを知らせる」インターネットの役割

 1970年にショウワノートから発売された「ジャポニカ学習帳」。発売から44年が経過した今でも学生を中心に親しまれているこの学習ノートの表紙をめぐって、ある事件が起きた。

 「気持ち悪いから、やめてほしい」

 ノートの表紙を飾ることが多かった「昆虫の写真」に対して、10年ほど前から、保護者や教師からクレームが寄せられるようになったという。

 確かに都心部を中心に昆虫の姿は昔ほど多くは見られなくなったが、それでも全く生息しなくなったわけではない。しかし、こうした声が挙がってくるようになったということは、この10年で昆虫に対して嫌悪感を示す人は増えてきたということだろう。

 クレームを受けたショウワノートは、昆虫が表紙になっているノートの生産数量を徐々に減らし、2012年、とうとう「ジャポニカ学習帳」の表紙から昆虫の姿は見られなくなった。これまで慣れ親しんでいたものが姿を消すことはいつだってもの寂しさが残るものだが、時代の流れともいえるのだろうか、テクノロジーよりも人の嗜好や考えによって姿を消すサービスや商品があることを再認識させる出来事となった。

 筆者がこの一連のニュースを知ったのは、2012年当時ではなく、つい最近のことだ。12月、インターネットで次の記事が話題になった。

ジャポニカ学習帳から昆虫が消えた 教師ら「気持ち悪い」 40年続けたメーカーは苦渋の決断(Yahoo!ニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141127-00010002-withnews-soci

 どのような経緯があって2年越しにこの出来事が話題となり、拡散されたのかは不明だが、最先端の情報を常に運んでくるインターネットが「世の中から消えてしまうもの」にフォーカスして、時代をさかのぼって話題を呼んだことはとても興味深い話ではないだろうか。

SONYのペット型ロボット「AIBO」も、2014年夏にサポート終了

 今年ネットで話題になった「世の中から消えてしまうもの」のもう一つの例に、SONYのペット型ロボット「AIBO」を挙げたい。

 2014年7月、生産元であるSONYがサポートサービスを終了した「AIBO」。ゲームやパソコンと同じように、「AIBO」も故障することがあるが、そのたび修理に出すことで、その「命」は永遠かと思われていた。しかし、販売元がサポートやサービスを終了すれば、その時点で延命措置は受けられなくなる。当たり前のことなのだが、私たちはどこかで「ロボットはずっと動き続けることができる」と思っていたところもあり、この事実はネットでも大きな反響を呼んだ。

AIBO、君を死なせない 修理サポート終了、「飼い主」の悲しみ(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/43886

 「AIBO」が発売されたのは今からちょうど15年前。15歳というと犬の平均寿命とほぼ変わらない年齢だが、SONYは2006年にはロボット事業から撤退したにもかかわらず、この15年間ずっとサポートサービスを継続させていた。そこにはSONYによる「AIBO」の「飼い主」への配慮があったのかもしれない。

 しかし、今年の夏、そのサポートもとうとう終了することとなった。ネットでは「飼い主」たちの悲しみの声が多数寄せられ、話題になることで「AIBO」もまた「ジャポニカ学習帳」と同じように「世の中から消えてしまうもの」として多くの人に惜しまれることとなった。

「終わりを知らせる」というインターネットのもう一つの役割

 最先端のサービスや商品を、新聞やテレビよりも早く世に届けるのがインターネットの役割だと筆者は認識している。そこに「振り返り」という概念はほとんど存在せず、これまでもインターネットはひたすら「新しいもの」を追い続けてきた。

 しかしITバブルが崩壊した2000年から約15年が経ち、SNSが普及したことにより、インターネットにももう一つの役割が生まれてきたように感じる。それが「終わりを知らせる」役割だ。テクノロジーの進歩や人の趣味・嗜好の変化によって廃れていった商品やサービス、ビジネスは数知れないが、ひっそりと姿を消すことになったそれらに今一度スポットを当てることで、初めてインターネットから情緒や感傷といった感情が芽生えるのではないだろうか。

 新たなサービスが生まれる一方で、別のサービスや商品が姿を消していく。生物の「命の循環」とは異なるところで生じる「消費の循環」にスポットを当てることで、古くから「もの」に「命」を宿してきた日本人ならでは情緒が再び生まれると信じている。

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